今週のイチオシ記事!
毎週の「滋賀民報」から編集部イチオシ記事をお届けします。
※記事本文については、一部割愛する場合があります
"今の保険証が一番ええやん"―「保険証廃止」に怒り渦巻く
2024年11月17日号 1面掲載
自公政権が健康保険証の新規発行を停止し、マイナンバーカードと保険証を一体にした「マイナ保険証」を強行しようとする12月2日が目前に迫り、県民の不安と憤りは強まる一方です。マイナ保険証は「使い勝手が悪い」との声や、トラブルが絶えず、全国の利用率は13.87%(9月)と低迷。さまざまな問題点(表参照)が明らかになる中、「現在の保険証を残すべき」との声が渦巻いています。
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保険証が「廃止」されても、現在の健康保険証は有効期限まで使えます。期限が切れる前に、マイナ保険証を持っていない人には、現在の保険証とほとんど変わらない「資格確認書」が交付されます。ただ、国のシステムの問題で、保険者によっては送付が間に合わない場合もあることが指摘されています。
マイナ保険証の問題点が相次ぎ表面化する中、県内の医師らは「保険証廃止が強行されれば、患者さんも医療現場も混乱は必至。一度取得したマイナ保険証の登録を解除して」と呼びかけています。
介護施設が突然の閉所―利用者ら悲鳴、事業者も深刻
2024年11月10日号 1面掲載
介護事業者―"経営が維持できない"。月数十万円の赤字を補填…もう限界
「通っているデイサービスが10月末で突然に閉所。困った」――。先月、編集部に切羽詰まった様子で電話が寄せられました。取材を進めていくと、利用者や事業者の深刻な実態が浮き彫りに。「介護危機」と言われる状況が県内でも広がっていることがわかりました。
■不安と困惑
大津市内の介護事業所で週2回デイサービスを利用していた稲葉さん(74)が、閉所を知らされたのは10月に入ってからのことでした。「えっ、今月末で閉所。そんな急な話なんて」。頭の中が真っ白になったと言います。稲葉さんは、視覚障害があり、受け入れ可能な施設が限られています。「ケアマネジャーと相談して、次の施設を急いで決めないと。果たして自分に合う施設があるのか」と、眠れない日々が続きました。
■赤字が常態化
閉鎖を決めた事業所の経営者に話を聞くと、廃止の理由は経営難だと明かしました。「ずっと自己資金や他の事業収入で赤字を補填していたけれど、もう限界。利用者には申し訳ないが苦渋の決断」と言います。デイサービス事業を始めた13年前は、安定して経営できていましたが、介護保険制度の改悪が繰り返され、月数十万円の赤字が常態化していたと。
■"今すぐ手を"
制度開始から24年、介護保険は改悪され続けてきました。高齢化が進む中、国が国庫負担割合を増やさずに抑制ばかりしてきたことが原因です。こうした状況に、県内の介護関係者からは、「多くの介護事業所が水面下で経営危機に陥っている。今すぐに手を打たないと手遅れになる」と、警鐘を鳴らす声が出ています。
衆院選、日本共産党・近畿2議席 "自民党政治転換 公約実現に全力"
2024年11月3日号 1面掲載
自民党の組織的な裏金づくりと無反省ぶりに国民の大きな怒りが渦巻く中、金権腐敗の自民党政治に厳しい審判が下りました。
27日投開票となった衆院選で、自民・公明両党は改選前より議席を大きく減らし、過半数を割る大敗。裏金を暴き、自民党政治の転換を訴えた日本共産党は、比例近畿ブロックで新人2氏が当選し、現有議席を守りました。小選挙区(1、3区)でも同党は、自民党前職、自民党を補完する維新の新人と真正面から対決。及びませんでしたが、1区で2万8,359票(得票率16.44%)、3区で2万5,446票(同11.96%)を獲得。同党は「政治のゆがみを根本から正そう」と、次のたたかいを見据えています。
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衆院選で自民、公明両党の過半数割れは15年ぶり。選挙戦で自民党は石破茂首相(21日)ら幹部が連日、県内入りして組織を締め付けましたが、裏金への無反省ぶりに県民の不信がさらに強まり、県内比例票を6万票以上減らしました。自民党にもすがって比例票の上積みを狙った公明党は、前回から1万票減。「教育無償化を実現する会」を抱き込んで批判を浴びた維新も、比例で約2.5万票減らしました。侵略戦争・教育勅語を美化する参政党は3区の新人が比例復活で当選しました。
日本共産党は、比例近畿で新人の辰巳孝太郎、堀川朗子両氏が当選し、2議席を確保。同党は「金権腐敗政治を終わらせ、大軍拡をやめ外交で平和をつくり、物価高から暮らしを守る。日本共産党にしかできない仕事を、幅広い国民と手をつないで進める」と話しています。
"躍進で自民党政治変えよう" 日本共産党が全力
2024年10月27日号 1面掲載
比例=日本共産党、選挙区=きのせ候補1区、佐藤候補3区
大激戦の衆院選は、各党が最終盤ギリギリまで一票を奪い合う中、27日、投票を迎えます。日本共産党は田村智子委員長(16日)、山下芳生副委員長(19日)、市田忠義副委員長(20日)ら中央幹部が相次ぎ県内入りし、「比例で勝ち抜き、何としても自民党政治を変えよう」と熱く訴え。党員や後援会員、支援者らが各地で立ち上がり、他党と切り結んでいます。
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大津駅前で演説した同党の田村委員長は、全国注目の比例近畿ブロックで3議席に躍進することの意義を強調。金権腐敗政治の一掃や、暮らしにも平和にも希望を開くには、どの党が伸びるのがいいのかと問いかけ、「人を大切にしてきた党です」と同党の姿勢や政策を明快に語りました。そのうえで田村氏は、「ここで伸ばさずしてどうする」「変えましょう」と渾身の訴え。聴衆からは「そうだ」「変えよう」の声があがりました。
終盤の論戦内容が鮮明になる中、自公政権に対する有権者の批判は強まる一方。また、小選挙区に「教育無償化を実現する会」の前職を抱き込んだ「維新」と候補者には、政治姿勢を問う厳しい批判が。各党は「逆風」と危機感をあおり、なりふり構わず票の掘り起こしに躍起です。
激烈な選挙戦の中、日本共産党は対話や宣伝に総力戦。「思い切って話したら、わかってもらえた」「残された時間、一人でも多くの力を借りよう」と奮起し、一丸となった取り組みを広げています。
"政治を根本から正す" 日本共産党が奮戦
2024年10月20日号 1面掲載
"比例躍進必ず"
衆院選が15日公示(27日投票)され、県内でも各党、各候補が激しくぶつかり合っています。
今回の選挙は、裏金事件で信頼を失い、行き詰まった自民党政治を続けさせるのかどうかが、大きく問われています。日本共産党は、「自民党政治のゆがみを根本から正す改革を」と訴え。国民と力を合わせて、切実な願いを実現する同党の比例代表での躍進、小選挙区の勝利へ総力をあげています。
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短期決戦の衆院選。一大争点の裏金事件は日本共産党の追及で明らかになりました。滋賀入りした同党の近畿比例候補・たつみコータロー氏は、石破茂首相が国会論戦から逃げて総選挙を強行したことに、「追及を避けたはずが、代表質問だけでもうボロボロ」(8日、近江八幡市内)と指摘。事件の真相解明にも、新たな疑惑の調査にも応じないことに、「自民党は1mmも変わってない」と断じました。
◆
首相は総裁選での公約を次々に破る一方、アメリカの核兵器を日本で運用する「核共有」や、アジア版「NATO」の創設、改憲発議を狙うなど、危険な本質が明らかになっています。12日、近江八幡市内で演説した日本共産党近畿比例候補・清水ただし氏は、「緊張が高まれば戦争や軍政の危険も高まります。大軍拡・大増税にしっかり歯止めをかけ、日本の安全は軍事ではなく、外交努力、話し合いで解決を」と力を込めました。
"保険証廃止するな"―マイナ問題、各党違いクッキリ
2024年10月13日号 1面掲載
石破自公政権が岸田前政権の暴政を受け継ぎ、12月2日に健康保険証の廃止を強行しようとしていることに不安が強まっています。
マイナ保険証は利用率が全国で12%ほど(8月時点)しかなく、トラブルも続出(「県内のトラブル事例」参照)。県内の医師からは衆院選(15日公示)で、保険証廃止の撤回を掲げる政党に期待する声があがっています。
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保険証廃止をめぐっては、石破茂首相が自民党総裁選時に、「(マイナ保険証との)併用も選択肢」と発言。ところが、内閣発足後は福岡資麿(たかまろ)厚労相が廃止を「堅持」と述べ、石破氏も所信表明演説で一言も触れず、廃止強行へと変節しました。
「うちのマイナ保険証の利用率はわずか8%。廃止したら大混乱しますよ」。大津内の眼科医院院長は危機感を募らせます。多くの人が保険証廃止を知らず、マイナ保険証の使い方も知らない上に、資格情報の更新も追いついていないのが実情です。「保険証は命にかかわるのに進め方があまりにずさん。マイナ保険証はお年寄りやハンデがある人にはなじまない。現在の保険証が使い続けられるようにすべきで、押しつけは"国民いじめ"」と憤ります。
◆"あわてて作らないで"
医師らは、「保険証廃止が強行されてもマイナ保険証を持っていない人には、現在の保険証と同じように使える『資格確認証』が自動的に送付されることになっている。あわててマイナ保険証を作らないで」と訴えています。
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トラブル事例(滋賀県内)
- 無効(有効期限切れ)な保険証が有効と出る。逆に、有効な保険証が無効と出る。毎月支払いされてる国保の方の有効無効の確認が難しい(歯科)
- 新患でマイナ保険証で受付したが無効。保険証も持参なかったため10割になると確認。本人は「後日また来院する」と、受診せず帰宅された(医科)
- 時間がかかりすぎて受付が渋滞している(医科)
- マイナ保険証のほうが(紙の)保険証より受付に時間がかかることをお伝えし対応。帰宅後、恫喝電話があった(医科) 全国保険医団体連合会が8月に実施した今年5月以降のトラブル調査より抜粋
解散総選挙・15日公示、27日投票―日本共産党決起!! "新しい政治へ"
2024年10月6日号 1面掲載
"近畿比例の勝利必ず"
甲賀で「集い」。短期決戦、躍進誓う
臨時国会が1日召集され、自民党総裁に選ばれた石破茂氏が第102代内閣総理大臣に指名されました。同氏は「なるべく早く審判を」と、9日に衆議院を解散して総選挙(15日公示・27日投票)に打って出る構えです。県内でも各党は、短期決戦へ取り組みを本格化。
こうした中、「自民党政治を終わらせ、新しい政治を作ろう」と、日本共産党が比例での躍進を強く訴えています。
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「裏金事件の真相究明、統一協会の再調査はしないのに、憲法は変えますと(石破氏は)言っている。中身は変わらず、表紙は大変な人に。いよいよ自民党政治を終わらせなあかん、というところにきています」。29日、日本共産党湖南地区委員会が甲賀市内で開いた「躍進をめざす集い」で、同党の穀田恵二国対委員長(衆院議員)が力を込めました。
穀田氏は自民党総裁に選ばれた石破氏の危険性として、▽タカ派で憲法を変えて国防軍をつくると言っている、▽日米軍事同盟では足りず、アジア版NATO(北大西洋条約機構)を創設し、軍事同盟の多国籍化を狙っている、▽アメリカの核兵器を日本で運用する「核共有」に前向き、▽沖縄の米軍・辺野古新基地建設を進めるために、辺野古に反対した沖縄県選出の同党国会議員を脅して建設を容認させた、と4点を指摘しました。
また、安倍晋三氏の「桜を見る会」、菅義偉氏の日本学術会議問題、岸田文雄氏の裏金事件と、直近3人の首相が辞めざるを得なかったのは「日本共産党の追及があったから」と強調。同党の近畿比例予定候補者の魅力を語り、「政治とカネの問題を正すには日本共産党の躍進がどうしても必要です」と訴えました。
【近づく解散総選挙】日本共産党、"比例躍進で政治変わる"
2024年9月29日号 1面掲載
新しい首相を選ぶ臨時国会が来月1日に召集される見込みとなり、解散総選挙の可能性が急浮上。自民党内からは「新首相の支持率が下がらないうちに」という声が強まっており、県内でも各党が10月15日公示(27日投票)を想定し、本番モードに突入しました。
日本共産党は20日、近畿比例予定候補2氏が県内入り。「日本共産党の比例躍進で政治を変えよう」と訴えました。
◇近江八幡・街頭で堀川さん
近江八幡駅前で20日、日本共産党湖東地区委員会が比例予定候補の堀川朗子氏を先頭に対話・宣伝行動。市民に願いを聞くシールアンケートや、「共産主義と自由」をテーマにトークセッションを行い、同党躍進へ支援を訴えました。
堀川氏はトークで、気候危機や長時間労働、過労死などの資本主義の限界を乗り越える社会主義・共産主義の魅力を紹介。併せて、「今の資本主義の枠内でも、賃上げと労働時間短縮はセットで実現できます。自民党は裏金など大企業からお金を受け取り続け、大企業の利益が最優先。労働者をいかに安く長く働かせるかの規制緩和を行ってきました。この自民党政治を、日本共産党の躍進で転換させる総選挙にしていきましょう」と呼びかけました。
◇湖南市・演説会で清水さん
日本共産党湖南地区委員会が20日、湖南市内で清水忠史比例予定候補を迎えて演説会を開き、10月20日告示(27日投票)で行われる湖南市議補欠選挙での立入善治予定候補の勝利と、同日投票と目される衆院選での日本共産党の躍進へ向けて支援を訴えました。
清水氏は、「企業・団体献金を1円ももらわず、お金に清潔な日本共産党を伸ばしてもらうのが政治を変える一番の力」と訴えました。
男女の賃金格差、滋賀は全国ワースト8位。男性の半分以下の企業も
2024年9月22日号 1面掲載
"ジェンダー平等社会の実現を"
県民から憤りの声
厚生労働省が2日、都道府県別の男女賃金格差を初めて公表。滋賀県は全国で8番目に男女の賃金格差が大きく、女性の賃金は男性の74.3%(フルタイム労働者の場合)にとどまっていることがわかりました。
県内に事業所を置く大企業(従業員301人以上)・上場企業(同)から10社を見てみると、女性の賃金が男性の半分に満たない企業もあるなど、劣悪な実態が浮き彫りになりました(表参照)。
◇ 「滋賀民報」が抽出した10社の賃金を見ると、日本電気硝子(大津市)で非正規で働く女性の賃金は、男性(非正規)の3割に満たず、同じく滋賀銀行では4割強。全従業員では、フジテックと滋賀銀行で男性の半分ほどの賃金しかないことがわかりました。どの企業を見ても格差は歴然です。
賃金格差などの数値公表は、従業員301人以上の企業を対象に昨年から義務づけられました。男性の平均年間賃金(ボーナス・手当なども含む)に対する女性の平均年間賃金の割合を、正規・非正規社員それぞれで算出。労働組合や日本共産党が公表を求め続け、ようやく実現しました。
男女の賃金格差の背景には、▽非正規雇用に女性が多いこと、▽転勤や長時間勤務が前提の「総合職」に女性が少ないこと、▽住宅手当などを世帯主の男性が受け取る場合が多いこと、など運用で男女に差が生じる「間接差別」の問題が指摘されています。
【高等教育の無償化へ 力をあわせて】県立大学准教授・杉浦由香里さんに聞く。「学びの機会奪ってる」
2024年9月15日号 1面掲載
"教育政策の転換を"
物価高騰などを背景に大学、短大、専門学校などの学費も値上げに。「高すぎる学費を引き下げ、高等教育を無償に」と、「実態アンケート」や請願署名に取り組んできた日本共産党の衆院1区・黄野瀬明子予定候補と、同3区・佐藤耕平予定候補が、県立大学の杉浦由香里准教授(教育学)を訪問。教育政策や修学支援のあり方について聞きました。
◆今の学生は貧しく、ゆとりがない
黄野瀬・佐藤 今日はよろしくお願いします。
杉浦 来てくださってありがとうございます。この間、学生は本当に貧しくなっているな、と。アルバイトをすごく頑張って、ゆとりがない。ちゃんと食べてるのか心配なくらいです。研究室でご飯を炊いたりすると、すごく喜ばれます。
黄野瀬 私たちも街頭で聞き取りをしていたら、学費を………
◇続きは紙面で
日本共産党と市民ら、地域・学生の切実な願い上京し要望
2024年9月8日号 1面掲載
学費無償化/病床削減ストップ/鉄道バリアフリー化…4省と交渉
学費無償化や地域医療の確保、鉄道バリアフリー化などを求めて日本共産党滋賀県委員会が29日、同党の黄野瀬明子衆院1区予定候補、佐藤耕平同3区予定候補、県議団を先頭に上京。文部科学省、厚生労働省、総務省、国土交通省と交渉し、同行した県民とともに12項目を要望しました。宮本岳志衆院議員が同席し、文科省への要望には山下芳生参院議員も同席しました。
◆学費無償、奨学金返済半額へ
県内の大学生や奨学金返済を抱える青年など6人が、高額な学費・奨学金が生活や精神を圧迫している実態をそれぞれ訴え。また、滋賀からオンラインで保護者2人が訴えました。同日、衆参への「無償化」請願署名6,502筆も届けました。
◆地域医療の充実を
節木三千代県議は医療的ケアを必要とする子が増えているにもかかわらず、滋賀県地域医療構想の名のもとに、県立小児保健医療センターの統合・病床削減が進められていることを告発。同構想が病床・医療削減の方向に誘導していることを示し、転換を求めました。
「湖北の地域医療を考える会」の清水庄次代表は、湖北地域では、人口10万人あたりの医師数が全国平均と比べても著しく低いことを示し、病院を再編すれば、病院・医師ともに減り、「地域医療が立ち行かなくなるこ
◆「移動権」の保障を
中山和行県議は、高齢化が進む地域でバリアフリー化は切実だと述べ、事業者や自治体任せではなく、国として国民の移動権を保障するよう財政措置等を求めました。
「自助」「共助」の防災計画、"見直し、対策を"
2024年9月1日号 1面掲載
日向灘を震源としたマグニチュード7.1の地震(8月8日)が、南海トラフ地震の想定震源域内であったことから、気象庁は同日、初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表。15日に終了するまで、関東から九州の各地で緊迫した事態が続きました。
滋賀県は2014年に南海トラフ地震の被害想定を作成し、防災計画も作成しましたが、住民の防災組織に頼る計画に見直しを求める声が出ています。
◇
南海トラフ巨大地震の被害想定は「基本ケース」と、陸側が強く揺れる「陸側ケース」に、季節と時間の条件を変えた6通り。
滋賀での被害がより深刻な「陸側ケース」(夏・正午)では、県全域で最大震度6強・6弱に達し、死者300人、負傷者6,700人、建物の全壊1万1,000棟、半壊7万4,000棟と予測しています。
◆
こうした大規模地震に、行政が果たすべき役割は重大です。ところが、被害想定を盛り込んだ「滋賀県地域防災計画」(2022年3月改定)では、地震災害の初動期に「『地域における防災力』が担うべき役割は大きい」、「市町はその圏域において自主防災組織の育成と活性化のための各種施策を展開する」と記述。住民が「自分たちの地域は自分たちで守る」との意識で自主的に結成する防災組織に対応を委ねています。
こうした県の認識には、地域防災活動に携わってきた識者から「実態と合わない」と厳しい声が。「高まる高齢化率、下がり続ける自治会加入率。地域の自主防災組織は困難に直面している」と指摘します。
被爆地をその目と耳で…広島で学んだ小学生が報告会
2024年8月25日号 1面掲載
甲賀市の平和事業、5年ぶりに再開
甲賀市の児童らによる広島市への平和学習がコロナ禍などを越えて今月、5年ぶりに再開。18日、広島平和記念事業報告会と被爆体験伝承講話会が市内で開かれ、児童の代表5人が広島で学んだことを報告。
核兵器と戦争のない世界をまっすぐに求める発言に、会場からは大きな拍手が起きました。
◇
広島を訪ねたのは、甲賀市内の14小学校の6年生15人。今月5日、平和記念公園で献花を行い、甲賀市の小学生らで折った千羽鶴を「原爆の子の像」に捧げた後、広島平和記念資料館を見学。6日は平和記念式典に参加しました。
18日の報告会では、大人や親子など85人を前に、児童5人が広島で学習した成果を、自身の率直な思いを交えながら発表しました。資料館の展示に強い衝撃を受けたこと、記念式典で広島の児童の言葉に学んだこと、被爆者から生々しい体験を聞いたこと、世界では今も戦争で多くの犠牲者が出ていることなど、それぞれが胸に刻んだことを、現在の日常とも対比。核兵器や戦争をなくそうとするひたむきな姿勢が、参加者の心を打ちました。
広島への平和学習は、甲賀市が合併前から続けてきた事業。児童自身の目で、広島で起きた事実を確かめられることから、全県から注目を浴び、保護者や市民からは参加人数を広げてほしいとの声も出ています。
愚かな国策・満州で犠牲に。"戦争させない"を今こそ―満蒙開拓団・川島さん
2024年8月11日・18日合併号 1面掲載
終戦の年に一家で満州へ、ソ連参戦で戦禍の真っ只中
「戦争は子どもを犠牲にする。絶対にしてはなりません」――。
アジア・太平洋戦争の終結から79年。悲惨な戦争を体験した川島淳子さん(95・甲賀市)が心の底から伝えたい思いです。16歳で満州(中国東北地方)へ開拓団として渡り、ソ連参戦(1945年8月9日)で戦禍の真っ只中に。川島さんの証言には、愚かな国策で犠牲になった多くの人たちの怒りと悔しさがにじみます。
◇
川島淳子さんが、父母、2人の妹、弟と共に満州に渡ったのは終戦5ヵ月前の1945年3月。「満州は物がいっぱいある天国」。水口(甲賀市)の県事務所の強い勧めでした。母は強く反対しましたが、父は「借金をなくすために」と早々に家を売り払いました。
甲賀からはすでに多くの人が満州に渡り、ソ連(ロシア)と朝鮮の国境に近い長嶺子(ちょうれいし)で、「甲賀郷開拓団」として暮らしていました。その地で川島さん一家に与えられたのは平屋と広大な畑。「中国人の畑を取り上げたんだと、父から聞かされました」
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8月8日の夜、北の方角に火柱が。ソ連が攻めてくるとは想像もできず、事態を知ったのは翌朝。「もうソ連軍に囲まれていたんやろうね。うちより国境に近い所では、親子で刺し違えて集団自決した家もあったの」
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反対を押し切って渡った満州で母を失い、"お父さんが殺したようなもんや"と責めたと言う川島さん。「貧しかった父。愚かな国策の犠牲者だったのかも」。その言葉には、父への同情が混じっていました。
「結局、戦争で犠牲になるのは庶民。だから一人ひとりが今こそ、戦争させないよう言わなあかんのです」
"核廃絶は私の責務"、峠三吉の詩を原動力に―広島原爆遺児・森下さん
2024年8月4日号 1面掲載
爆心地1kmで被爆、父は一瞬で消えた
"父を殺したのはアメリカと日本の軍国主義"
「核兵器をなくす署名です」――。街頭で呼びかける言葉はとてもシンプル。それでも多くの人が足を止め、署名してくれるのを何度も目にしてきました。
夕方のJR石山駅前。大津市平和委員会などが毎月9日に取り組む「日本政府に『核兵器禁止条約』の批准を求める署名」行動に、森下賢一さん(83・大津市)の姿が必ずあります。
核兵器を全面的に禁止する、人類史上初の同「条約」は2017年、国連で採択されました。現在は70ヵ国が批准。原爆で父を亡くした森下さんには格別の思いがあります。
◇
森下さんは1941年、兵庫県神戸市生まれ。戦争のことはほとんど覚えていません。7歳上の兄や親類から、被爆地・広島で父が最期を迎えたことを聞きました。
戦況が悪化した43年、森下さん一家は空襲から逃れるために広島県安芸津町(現東広島市)に疎開。神戸で惣菜屋を営んでいた父・丈一さんは、疎開先で野良仕事や塩作り、炭焼きをして家族を支えました。しかし、原爆投下1ヵ月前(45年7月)、陸軍が空襲時の治安維持のために広島、呉両市で編成した広島地区特設警備隊に召集。森下さんにとって、家族で見送った父の背中が最後の記憶です。抱擁も握手もなく、「行ってくるよ。手柄を立ててくるぞ!」とだけ言い残して出かけた丈一さんは、「照れ屋だった」(お兄さん談)と。
8月6日の朝、丈一さんは旧広島県庁付近で、空襲時の延焼を防ぐために密集した住宅を解体する建物疎開の作業に従事していました。爆心地から約1km。一瞬にして内臓まで焼きつくす、すさまじい熱線を浴びて、遺体も遺品も何一つ返ってきませんでした。
父を探して広島市内に入った母・すえさん(享年71)も、残留放射能を浴びて被爆。届け出なかったとして、被爆者手帳は交付されず、慢性気管支炎や肝臓結石などを患い、生涯病気が絶えなかったと言います。
◇
森下さんは、20歳の頃、被爆詩人・峠三吉の「にんげんをかえせ」を読んで衝撃を受けたと言います。「これは私の気持ちそのまんま」。今もこの詩が活動の原動力です。
○全文は紙面で
【日米共同訓練】陸自、米軍指導の「戦争訓練」
2024年7月28日号 1面掲載
饗庭野(高島市)で実弾射撃も
陸上自衛隊と米陸軍の大規模な実動訓練「オリエント・シールド24」が18日、饗庭野演習場(高島市)で強行されました。
訓練中止を求める声が強まる中、日米両部隊は26日まで連日、饗庭野を戦場に見立てて、海外で戦争するための訓練を展開。18、22両日、記者が演習場内で訓練を取材しました。
◆
「我々の将来の戦闘というのは"統合"の戦闘になる。どのように共に戦うか。これが今回の訓練の主眼」。18日、饗庭野演習場で行われた訓練開始式で、在日米陸軍のウォーマック司令官が日米両部隊に訓示しました。隊員らを囲むように、米軍の大型輸送ヘリや攻撃ヘリ、最大射程200kmとされる地対艦ミサイル「88式地対艦誘導弾」(陸自)が並ぶ異様な光景。同司令官は「我々の部隊は世界一。競合国は我々の訓練を見ている」と、軍事力をアピールする狙いをあけすけに語りました。饗庭野での日米共同訓練は19回目。自衛隊を実質的に米軍の指揮下に組み込むことを宣言した日米共同声明(4月)に基づき、米陸軍の戦争に自衛隊を深く組み込む狙いが一目瞭然でした。
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22日には「共同戦闘訓練」の一部を報道公開。饗庭野演習場での共同訓練では初めて地対艦ミサイルが投入され、「敵基地攻撃」を想起させました。同日開かれた会見では、陸上幕僚長が他国の脅威を煽り、軍事力の強化を正当化。チャールズ・フリン米太平洋陸軍司令は、「日本は戦略的な競争の最前線に位置するが、陸上自衛隊は一人ではない。我々米陸軍が共に立ち向かう」などと、中国を念頭に置いたと見られる発言を繰り返しました。
【滋賀民報 調査】県内4大学で学費値上げ。まだ上がる?!
2024年7月21日号 1面掲載
大学からは補助金増額を求める声
大学や短大、専門学校の高すぎる学費が学生や家族らの大きな負担になっています。教育を受けることはすべての人に保障されている権利ですが、学費を理由に進学を諦める人は後を絶ちません。
学費の値下げを求める声があがる中、県内の大学や短大では値上げが相次いでいることが「滋賀民報」の調査でわかりました(表参照)。大学からは、国に補助金配分などの改善を求める声が寄せられました。
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1970年と比べると、国立大学の授業料・入学金は50倍以上の81万7,800円。私立大学の平均額は120万円以上――。
「滋賀民報」の調査は、県内の10大学、2短期大学、1専門職大学に過去3年間の学費などを聞き取り。その結果、昨年度に1私立短大、今年度は3私大(短大部含む)が授業料などを値上げしたことがわかりました。国公立大学(滋賀大学、滋賀医科大学、滋賀県立大学)は、文部科学省令で定められた標準額(授業料など)を徴収しており、今後の値上げについて聞くと、滋賀大と医大が「未定な部分が多々ある」などを理由に無回答。県立大は「検討していない」と答えました。
大規模私立2大学は今年度、大幅に値上げ。立命館大学経済学部は4年間の学費総額が33万円以上も上がり、同大理工学部数理科学科では40万円増となりました。龍谷大学は理系・文系学部ともに4年間の学費が16万円増額。値上げについて立命館大は、コロナ対応や円安・物価高騰の中で経費削減などを続けてきたとした上で、「今後………
◆続きは紙面で
"日米共同訓練中止を"、高島市で「あいば野大集会」
2024年7月14日号 1面掲載
18日から米軍と陸自「戦闘訓練」。饗庭野(高島市)が"戦場"に
陸上自衛隊が18日から、饗庭野演習場(高島市)を中心に国内5ヵ所で米陸軍と最大規模の実動訓練「オリエント・シールド24」を強行しようとしています。訓練のねらいは、自衛隊を米軍の指揮下により深く組み込み、"戦争する部隊"に変えること。訓練の中止を求めて「戦争準備の日米合同演習反対あいば野大集会」が7日、高島市内で開かれました。参加者は、沖縄県で相次いで発覚した米兵による少女暴行事件にも強く抗議しました。
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集会は、市民団体や労働組合でつくる「ふるさとをアメリカ軍に使わせない滋賀県連絡会」が主催し、県内外から330人が参加。
髙岡光浩代表が開会あいさつした後、6年間に4度の重大事故が発生した饗庭野の危険性を、衆議院外務委員会で指摘した日本共産党の穀田恵二衆院議員(国対委員長)が情勢を報告。穀田氏は、住民犠牲を前提に県内外で大軍拡が進められ、自衛隊幹部が「靖国」の復活を主張していると告発し、「戦死することを前提とした自衛隊活動が、政治の戦前回帰と軌を一にして進んでいる」「戦争準備である軍事演習に『ノー』を」と力を込めました。
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集会後、参加者は市内をデモ行進。「米軍は饗庭野にくるな」「憲法9条を守れ」「自衛隊員を戦場に送るな」とシュプレヒコールしました。市内から参加した熊谷則子さん(79)は「演習場の中を生活道路が通り、近くには福祉施設も。実弾演習はやめてほしい」と話していました。
疑念噴出「大阪万博」遠足、"希望しない"過半数
2024年7月7日号 1面掲載
"不明なことが多すぎる"
滋賀県が満4~18歳を招待するとして、学校単位での参加を進める「大阪・関西万博」。会場での事故や整備の遅れなど数々の問題が浮上する中、県の参加希望調査では、回答した学校の半数以上が「希望しない」と表明。
先月18日、県が学校関係者向けに開いたオンライン説明会に参加した小学校教員は、「説明を聞いて、学校としての参加は断念した」と明かしました。
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県万博推進室のオンライン説明会は、県の委託を受けた業者が申込み方法や、現時点での開催に関する情報を各学校に提供し、"万博遠足"を促すのがねらい。参加した教員からは、ガス爆発事故への対策など安全性を問う声や、熱中症対策、昼食をとる場所が確保できるのか、などの質問があったと言います。
教員の1人は説明会後、「パビリオンの内容は未定、会場の下見は開幕後(来年4月13日)の予定と。不明点が多すぎて、これでは"GO"が出せない」と話しました。学校などでは教育旅行の行き先が例年通りなら、数ヵ月前の下見でも間に合うのが通例。ところが万博はまったく未知の上、事故対応や災害時の孤立など、子どもの安全が保障されるのかさえ確認できていません。「県の情報を待っていたら、別の行き先の準備が間に合わなくなる」とも。別の教員は「万博は話題にも上がりません」と一蹴しました。
「万博招待」に疑問や批判が強まる中、県は5月末から県内の小、中、高、特別支援学校などの計407校に、教育旅行としての参加希望を聞き取り。21日までに回答があった51校のうち、半数を超える27校が参加を希望しないと答えたことが、日本共産党の中山和行県議の議会質問(28日)で明らかになっています。
能登地震から半年。輪島・珠洲(すず)―取材班が見た、新たな苦難
2024年6月30日号 1面掲載
仮設に入っても…
能登半島地震(1月1日)からまもなく半年。大きな被害を受けた石川県の輪島市や珠洲(すず)市などを19、20両日、取材しました。
至る所に地震の爪痕が残り、家や生業を失った人たちは「先が見通せない」と沈痛な面持ちでした。建設が進む仮設住宅も"被災者の自立"が前提。支援は狭まり、被災者は新たな苦難に直面していました。
今号と次号の2回にわたり、被災地の「今」を伝えます。(取材班)
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石川県内では仮設住宅4,828戸が完成し、入居が進んでいます。しかし住めるのは原則2年間(延長可)。
輪島の仮設住宅で夫(69)と母(97)の3人で暮らす邑田(むらた)冨士子さん(67)は、150㎞ほど離れた片山津温泉に2次避難していました。「食事も出て、よくしてもらいました。でも、やっぱり輪島に」と帰郷。
希望して入った仮設ですが、そこでの暮らしも苦労が絶えません。足が不自由な母のために車イス対応の仮設を希望していましたが、入居してみるとトイレや風呂に高い段差。手すりを設置してもらったものの「浴槽はすごい跨(またが)ないといけなくて、ばあちゃんは入れない」。こうした環境の急激な変化は、食事を作る・食べる気力も奪っていきます。
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震災後、初めて迎える夏。小学生と幼稚園児を育てる父親(50)は、「断熱もしっかりしていないから、夏は暑いんだろうな」と仮設住宅の天井を見上げました。
仮設に入る前、テレビ、冷蔵庫、洗濯機は支給されると聞きました。ところが実際は用意されず、やむにやまれず洗濯機を購入したら、「3つのうちどれかを買ったら、ほかも自費で」と言われ、思わぬ出費に泣きました。「あると聞いていた家電がないという話は何軒も聞きましたよ」
「マイナ保険証」"中止の声を大きく"、大津で医師ら反対訴え
2024年6月23日号 1面掲載
あの手この手で事実上の強制
健康保険証12月に廃止予定
「マイナンバーカードはそもそも任意だったはずです。命にかかわる健康保険証を人質にとって、マイナ保険証を無理やり使わせようとしています。あまりにひどい」。白衣姿の医師の訴えに、通りかかった人たちが足を止めました。
政府が従来の健康保険証を廃止するとしている12月2日まで半年を切った13日、大津市内で滋賀県保険医協会が、「安心して医療にかかれるため、反対の声を一緒に上げましょう」と署名を呼びかけました。
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県保険医協会は、県内の医師や歯科医師らでつくる団体。宣伝では、理事長の太田志朗医師らがマイクを握り、▽マイナ保険証を読み取る「オンライン資格確認」の義務化によって、会員の1割前後が閉院・廃院を予定している、▽マイナ保険証はトラブルが続いていて、現行の保険証を廃止すれば大混乱に陥る、▽認知症や障害のある人は使用も保管も困難な場合がある、▽システム障害や災害時には使えない、などの問題点を指摘。「マイナ保険証を使っているのは6%前後。保険証を廃止すれば、無保険の人が大量に生まれかねません。皆さんの反対の声が大きいほど中止の力になります」と訴えました。
"戦争かと思った"、住宅地上空を戦闘機が旋回。低空で何度も
2024年6月9日・16日合併号 1面掲載
住民憤り
「戦争が起きたのかと思った」。29日と6月1日、大津、草津、守山、野洲各市の上空で、戦闘機や大型の軍事輸送機などの軍用機5機が旋回。爆音を響かせながら低空飛行する軍用機に、住民は不安を募らせました。
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「家の真上を戦闘機が何度も飛んでいる」。29日、「滋賀民報」に県内各地から問い合わせの電話が相次ぎました。その後の取材で、戦闘機は航空自衛隊奈良基地(奈良市)で行われた「基地祭」(1日)の展示飛行のための訓練飛行と判明。真相を知った住民は「なぜ住宅街の上を」「戦争のようで怖かった」と声を震わせました。同基地は、抗議の声を無視して1日に展示飛行を強行しました。
空自奈良基地によると、県内上空を飛行したのは航空自衛隊のF15戦闘機2機、戦術輸送機C130H1機、T4練習機2機。それぞれ小松、小牧、浜松各基地の所属で、県内上空で合流し、旋回して奈良基地に向かったと言います。担当者は、滋賀県上空で旋回するのは、「時間調整のため」「琵琶湖があるため何かあった時に着水できるから」と回答。県には事前通告さえしていません。
「滋賀民報」が航空機の航路がわかるレーダーサイトを確認したところ、29日、軍用機は野洲市と大津市の間を10周前後旋回。1日には、F15戦闘機2機が県内上空で接近して飛行。いずれも記者が目視、撮影しました。F15は2022年に墜落し、死亡事故を起こしたばかり。守山市で目撃した女性(72)は「操縦士が見えるほどの低空飛行。下校時間で子どもたちも『怖い』と。こんなことは二度とごめん」と憤ります。
大津市で待機児が激増。保護者から悲鳴
2024年6月2日号 1面掲載
"どの保育園もいっぱいで"
大津市が先月15日、4月1日時点の待機児童数が昨年の30倍を超え、過去最多になったことを発表。「隠れ待機児」を含めると516人が保育園などへ入れていない深刻な状況で、保育園に"落ちた"保護者からは「保育園・保育士をもっと増やして」という声とともに、緊急の支援を求める切実な声があがっています。
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大津市の待機児童数(4月)は184人で、昨年の6人から激増。特定の園を希望する場合や育児休業中などで、国の待機児童の定義から除かれる「隠れ待機児」を含めた数でも記録が残る2012年以降で最多です。同時期の「隠れ待機児」を含む数では草津市が129人、野洲市が73人、米原市が6人で、大津市が際立っています。
同市によれば、特にJR大津駅から比叡山坂本駅周辺のエリアで待機児が急増。市はコロナ禍を理由にした「利用控え」がなくなったことに加え、宅地・マンションの新設で子育て世帯が増加したこと、保育士の確保が難しいことなどを原因にあげています。