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滋賀県唯一の革新地方紙―滋賀民報Web

定価:1か月470円、1部120円
発行所:(株)滋賀民報社

今週のイチオシ記事!

毎週の「滋賀民報」から編集部イチオシ記事をお届けします。

※記事本文については、一部割愛している場合があります

【高等教育の無償化へ 力をあわせて】県立大学准教授・杉浦由香里さんに聞く。「学びの機会奪ってる」

2024年9月15日号 1面掲載

日本共産党予定候補が訪問
杉浦氏写真
滋賀県立大学准教授(教育学)・杉浦由香里さん
"教育政策の転換を"

 物価高騰などを背景に大学、短大、専門学校などの学費も値上げに。「高すぎる学費を引き下げ、高等教育を無償に」と、「実態アンケート」や請願署名に取り組んできた日本共産党の衆院1区・黄野瀬明子予定候補と、同3区・佐藤耕平予定候補が、県立大学の杉浦由香里准教授(教育学)を訪問。教育政策や修学支援のあり方について聞きました。
◆今の学生は貧しく、ゆとりがない 黄野瀬・佐藤 今日はよろしくお願いします。
杉浦 来てくださってありがとうございます。この間、学生は本当に貧しくなっているな、と。アルバイトをすごく頑張って、ゆとりがない。ちゃんと食べてるのか心配なくらいです。研究室でご飯を炊いたりすると、すごく喜ばれます。
黄野瀬 私たちも街頭で聞き取りをしていたら、学費を……… ◇続きは紙面で

日本共産党と市民ら、地域・学生の切実な願い上京し要望

2024年9月8日号 1面掲載

「高等教育の無償化」を求める要請書を手渡す日本共産党写真
文科省に「高等教育の無償化」を求める要請書を手渡す黄野瀬衆院1区予定候補と山下・宮本両国会議員ら(29日、衆院議員会館=東京都)
政府に実現迫る
学費無償化/病床削減ストップ/鉄道バリアフリー化…4省と交渉

 学費無償化や地域医療の確保、鉄道バリアフリー化などを求めて日本共産党滋賀県委員会が29日、同党の黄野瀬明子衆院1区予定候補、佐藤耕平同3区予定候補、県議団を先頭に上京。文部科学省、厚生労働省、総務省、国土交通省と交渉し、同行した県民とともに12項目を要望しました。宮本岳志衆院議員が同席し、文科省への要望には山下芳生参院議員も同席しました。
◆学費無償、奨学金返済半額へ  県内の大学生や奨学金返済を抱える青年など6人が、高額な学費・奨学金が生活や精神を圧迫している実態をそれぞれ訴え。また、滋賀からオンラインで保護者2人が訴えました。同日、衆参への「無償化」請願署名6,502筆も届けました。
◆地域医療の充実を  節木三千代県議は医療的ケアを必要とする子が増えているにもかかわらず、滋賀県地域医療構想の名のもとに、県立小児保健医療センターの統合・病床削減が進められていることを告発。同構想が病床・医療削減の方向に誘導していることを示し、転換を求めました。
 「湖北の地域医療を考える会」の清水庄次代表は、湖北地域では、人口10万人あたりの医師数が全国平均と比べても著しく低いことを示し、病院を再編すれば、病院・医師ともに減り、「地域医療が立ち行かなくなるこ
◆「移動権」の保障を  中山和行県議は、高齢化が進む地域でバリアフリー化は切実だと述べ、事業者や自治体任せではなく、国として国民の移動権を保障するよう財政措置等を求めました。

「自助」「共助」の防災計画、"見直し、対策を"

2024年9月1日号 1面掲載

南海トラフ地震で滋賀でも甚大被害が…【防災の日】
滋賀県の南海トラフ地震想定震度分布図画像
滋賀県の南海トラフ地震想定震度分布。2014年3月「県地震被害想定(概要版)」より(クリックで画像拡大)

 日向灘を震源としたマグニチュード7.1の地震(8月8日)が、南海トラフ地震の想定震源域内であったことから、気象庁は同日、初の「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表。15日に終了するまで、関東から九州の各地で緊迫した事態が続きました。
 滋賀県は2014年に南海トラフ地震の被害想定を作成し、防災計画も作成しましたが、住民の防災組織に頼る計画に見直しを求める声が出ています。
 南海トラフ巨大地震の被害想定は「基本ケース」と、陸側が強く揺れる「陸側ケース」に、季節と時間の条件を変えた6通り。
 滋賀での被害がより深刻な「陸側ケース」(夏・正午)では、県全域で最大震度6強・6弱に達し、死者300人、負傷者6,700人、建物の全壊1万1,000棟、半壊7万4,000棟と予測しています。
 こうした大規模地震に、行政が果たすべき役割は重大です。ところが、被害想定を盛り込んだ「滋賀県地域防災計画」(2022年3月改定)では、地震災害の初動期に「『地域における防災力』が担うべき役割は大きい」、「市町はその圏域において自主防災組織の育成と活性化のための各種施策を展開する」と記述。住民が「自分たちの地域は自分たちで守る」との意識で自主的に結成する防災組織に対応を委ねています。
 こうした県の認識には、地域防災活動に携わってきた識者から「実態と合わない」と厳しい声が。「高まる高齢化率、下がり続ける自治会加入率。地域の自主防災組織は困難に直面している」と指摘します。

被爆地をその目と耳で…広島で学んだ小学生が報告会

2024年8月25日号 1面掲載

滋賀民報2024年8月25日号1面画像
滋賀民報2024年8月25日号1面
"核兵器も戦争もない世界を"
甲賀市の平和事業、5年ぶりに再開

 甲賀市の児童らによる広島市への平和学習がコロナ禍などを越えて今月、5年ぶりに再開。18日、広島平和記念事業報告会と被爆体験伝承講話会が市内で開かれ、児童の代表5人が広島で学んだことを報告。
 核兵器と戦争のない世界をまっすぐに求める発言に、会場からは大きな拍手が起きました。
 広島を訪ねたのは、甲賀市内の14小学校の6年生15人。今月5日、平和記念公園で献花を行い、甲賀市の小学生らで折った千羽鶴を「原爆の子の像」に捧げた後、広島平和記念資料館を見学。6日は平和記念式典に参加しました。
 18日の報告会では、大人や親子など85人を前に、児童5人が広島で学習した成果を、自身の率直な思いを交えながら発表しました。資料館の展示に強い衝撃を受けたこと、記念式典で広島の児童の言葉に学んだこと、被爆者から生々しい体験を聞いたこと、世界では今も戦争で多くの犠牲者が出ていることなど、それぞれが胸に刻んだことを、現在の日常とも対比。核兵器や戦争をなくそうとするひたむきな姿勢が、参加者の心を打ちました。
 広島への平和学習は、甲賀市が合併前から続けてきた事業。児童自身の目で、広島で起きた事実を確かめられることから、全県から注目を浴び、保護者や市民からは参加人数を広げてほしいとの声も出ています。

愚かな国策・満州で犠牲に。"戦争させない"を今こそ―満蒙開拓団・川島さん

2024年8月11日・18日合併号 1面掲載

川島氏写真
証言する川島さん
たくさんの子どもが寒さと飢えで死んだ
終戦の年に一家で満州へ、ソ連参戦で戦禍の真っ只中

 「戦争は子どもを犠牲にする。絶対にしてはなりません」――。
 アジア・太平洋戦争の終結から79年。悲惨な戦争を体験した川島淳子さん(95・甲賀市)が心の底から伝えたい思いです。16歳で満州(中国東北地方)へ開拓団として渡り、ソ連参戦(1945年8月9日)で戦禍の真っ只中に。川島さんの証言には、愚かな国策で犠牲になった多くの人たちの怒りと悔しさがにじみます。
 川島淳子さんが、父母、2人の妹、弟と共に満州に渡ったのは終戦5ヵ月前の1945年3月。「満州は物がいっぱいある天国」。水口(甲賀市)の県事務所の強い勧めでした。母は強く反対しましたが、父は「借金をなくすために」と早々に家を売り払いました。
 甲賀からはすでに多くの人が満州に渡り、ソ連(ロシア)と朝鮮の国境に近い長嶺子(ちょうれいし)で、「甲賀郷開拓団」として暮らしていました。その地で川島さん一家に与えられたのは平屋と広大な畑。「中国人の畑を取り上げたんだと、父から聞かされました」
 8月8日の夜、北の方角に火柱が。ソ連が攻めてくるとは想像もできず、事態を知ったのは翌朝。「もうソ連軍に囲まれていたんやろうね。うちより国境に近い所では、親子で刺し違えて集団自決した家もあったの」
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 反対を押し切って渡った満州で母を失い、"お父さんが殺したようなもんや"と責めたと言う川島さん。「貧しかった父。愚かな国策の犠牲者だったのかも」。その言葉には、父への同情が混じっていました。
 「結局、戦争で犠牲になるのは庶民。だから一人ひとりが今こそ、戦争させないよう言わなあかんのです」

○全文は紙面で

"核廃絶は私の責務"、峠三吉の詩を原動力に―広島原爆遺児・森下さん

2024年8月4日号 1面掲載

森下氏写真
被爆体験の証言集を前に語る森下さん
政府に『核兵器禁止条約』の批准を求める署名、暑い日も寒い日も街頭に
爆心地1kmで被爆、父は一瞬で消えた
"父を殺したのはアメリカと日本の軍国主義"

 「核兵器をなくす署名です」――。街頭で呼びかける言葉はとてもシンプル。それでも多くの人が足を止め、署名してくれるのを何度も目にしてきました。
 夕方のJR石山駅前。大津市平和委員会などが毎月9日に取り組む「日本政府に『核兵器禁止条約』の批准を求める署名」行動に、森下賢一さん(83・大津市)の姿が必ずあります。
 核兵器を全面的に禁止する、人類史上初の同「条約」は2017年、国連で採択されました。現在は70ヵ国が批准。原爆で父を亡くした森下さんには格別の思いがあります。
 森下さんは1941年、兵庫県神戸市生まれ。戦争のことはほとんど覚えていません。7歳上の兄や親類から、被爆地・広島で父が最期を迎えたことを聞きました。
 戦況が悪化した43年、森下さん一家は空襲から逃れるために広島県安芸津町(現東広島市)に疎開。神戸で惣菜屋を営んでいた父・丈一さんは、疎開先で野良仕事や塩作り、炭焼きをして家族を支えました。しかし、原爆投下1ヵ月前(45年7月)、陸軍が空襲時の治安維持のために広島、呉両市で編成した広島地区特設警備隊に召集。森下さんにとって、家族で見送った父の背中が最後の記憶です。抱擁も握手もなく、「行ってくるよ。手柄を立ててくるぞ!」とだけ言い残して出かけた丈一さんは、「照れ屋だった」(お兄さん談)と。
 8月6日の朝、丈一さんは旧広島県庁付近で、空襲時の延焼を防ぐために密集した住宅を解体する建物疎開の作業に従事していました。爆心地から約1km。一瞬にして内臓まで焼きつくす、すさまじい熱線を浴びて、遺体も遺品も何一つ返ってきませんでした。
 父を探して広島市内に入った母・すえさん(享年71)も、残留放射能を浴びて被爆。届け出なかったとして、被爆者手帳は交付されず、慢性気管支炎や肝臓結石などを患い、生涯病気が絶えなかったと言います。
 森下さんは、20歳の頃、被爆詩人・峠三吉の「にんげんをかえせ」を読んで衝撃を受けたと言います。「これは私の気持ちそのまんま」。今もこの詩が活動の原動力です。 ○全文は紙面で

【日米共同訓練】陸自、米軍指導の「戦争訓練」

2024年7月28日号 1面掲載

日米共同訓練開始式写真
米軍輸送ヘリや地対艦ミサイルが並べられた訓練開始式(18日、饗庭野演習場)
"共に戦うため"―米司令官が放言
饗庭野(高島市)で実弾射撃も

 陸上自衛隊と米陸軍の大規模な実動訓練「オリエント・シールド24」が18日、饗庭野演習場(高島市)で強行されました。
 訓練中止を求める声が強まる中、日米両部隊は26日まで連日、饗庭野を戦場に見立てて、海外で戦争するための訓練を展開。18、22両日、記者が演習場内で訓練を取材しました。
 「我々の将来の戦闘というのは"統合"の戦闘になる。どのように共に戦うか。これが今回の訓練の主眼」。18日、饗庭野演習場で行われた訓練開始式で、在日米陸軍のウォーマック司令官が日米両部隊に訓示しました。隊員らを囲むように、米軍の大型輸送ヘリや攻撃ヘリ、最大射程200kmとされる地対艦ミサイル「88式地対艦誘導弾」(陸自)が並ぶ異様な光景。同司令官は「我々の部隊は世界一。競合国は我々の訓練を見ている」と、軍事力をアピールする狙いをあけすけに語りました。饗庭野での日米共同訓練は19回目。自衛隊を実質的に米軍の指揮下に組み込むことを宣言した日米共同声明(4月)に基づき、米陸軍の戦争に自衛隊を深く組み込む狙いが一目瞭然でした。
 22日には「共同戦闘訓練」の一部を報道公開。饗庭野演習場での共同訓練では初めて地対艦ミサイルが投入され、「敵基地攻撃」を想起させました。同日開かれた会見では、陸上幕僚長が他国の脅威を煽り、軍事力の強化を正当化。チャールズ・フリン米太平洋陸軍司令は、「日本は戦略的な競争の最前線に位置するが、陸上自衛隊は一人ではない。我々米陸軍が共に立ち向かう」などと、中国を念頭に置いたと見られる発言を繰り返しました。

【滋賀民報 調査】県内4大学で学費値上げ。まだ上がる?!

2024年7月21日号 1面掲載

今年度に値上げした滋賀県内大学の学費表画像
今年度に値上げした滋賀県内大学の学費(2または4年間/円。PDF)
"無償化してほしいのに"
大学からは補助金増額を求める声

 大学や短大、専門学校の高すぎる学費が学生や家族らの大きな負担になっています。教育を受けることはすべての人に保障されている権利ですが、学費を理由に進学を諦める人は後を絶ちません。
 学費の値下げを求める声があがる中、県内の大学や短大では値上げが相次いでいることが「滋賀民報」の調査でわかりました(表参照)。大学からは、国に補助金配分などの改善を求める声が寄せられました。
 1970年と比べると、国立大学の授業料・入学金は50倍以上の81万7,800円。私立大学の平均額は120万円以上――。
 「滋賀民報」の調査は、県内の10大学、2短期大学、1専門職大学に過去3年間の学費などを聞き取り。その結果、昨年度に1私立短大、今年度は3私大(短大部含む)が授業料などを値上げしたことがわかりました。国公立大学(滋賀大学、滋賀医科大学、滋賀県立大学)は、文部科学省令で定められた標準額(授業料など)を徴収しており、今後の値上げについて聞くと、滋賀大と医大が「未定な部分が多々ある」などを理由に無回答。県立大は「検討していない」と答えました。
 大規模私立2大学は今年度、大幅に値上げ。立命館大学経済学部は4年間の学費総額が33万円以上も上がり、同大理工学部数理科学科では40万円増となりました。龍谷大学は理系・文系学部ともに4年間の学費が16万円増額。値上げについて立命館大は、コロナ対応や円安・物価高騰の中で経費削減などを続けてきたとした上で、「今後……… ◆続きは紙面で

"日米共同訓練中止を"、高島市で「あいば野大集会」

2024年7月14日号 1面掲載

「戦争準備の日米合同演習反対あいば野大集会」写真
炎天下、市内をデモ行進する「あいば野大集会」参加者(7日、高島市)
"戦争準備やめよ"
18日から米軍と陸自「戦闘訓練」
饗庭野(高島市)が"戦場"に

 陸上自衛隊が18日から、饗庭野演習場(高島市)を中心に国内5ヵ所で米陸軍と最大規模の実動訓練「オリエント・シールド24」を強行しようとしています。訓練のねらいは、自衛隊を米軍の指揮下により深く組み込み、"戦争する部隊"に変えること。訓練の中止を求めて「戦争準備の日米合同演習反対あいば野大集会」が7日、高島市内で開かれました。参加者は、沖縄県で相次いで発覚した米兵による少女暴行事件にも強く抗議しました。
 集会は、市民団体や労働組合でつくる「ふるさとをアメリカ軍に使わせない滋賀県連絡会」が主催し、県内外から330人が参加。
 髙岡光浩代表が開会あいさつした後、6年間に4度の重大事故が発生した饗庭野の危険性を、衆議院外務委員会で指摘した日本共産党の穀田恵二衆院議員(国対委員長)が情勢を報告。穀田氏は、住民犠牲を前提に県内外で大軍拡が進められ、自衛隊幹部が「靖国」の復活を主張していると告発し、「戦死することを前提とした自衛隊活動が、政治の戦前回帰と軌を一にして進んでいる」「戦争準備である軍事演習に『ノー』を」と力を込めました。
 集会後、参加者は市内をデモ行進。「米軍は饗庭野にくるな」「憲法9条を守れ」「自衛隊員を戦場に送るな」とシュプレヒコールしました。市内から参加した熊谷則子さん(79)は「演習場の中を生活道路が通り、近くには福祉施設も。実弾演習はやめてほしい」と話していました。

疑念噴出「大阪万博」遠足、"希望しない"過半数

2024年7月7日号 1面掲載

学校現場"「GO」出せない"
"不明なことが多すぎる"
会場建設中の夢洲(5月)写真
会場建設中の夢洲(ゆめしま)(5月)

 滋賀県が満4~18歳を招待するとして、学校単位での参加を進める「大阪・関西万博」。会場での事故や整備の遅れなど数々の問題が浮上する中、県の参加希望調査では、回答した学校の半数以上が「希望しない」と表明。
 先月18日、県が学校関係者向けに開いたオンライン説明会に参加した小学校教員は、「説明を聞いて、学校としての参加は断念した」と明かしました。
 県万博推進室のオンライン説明会は、県の委託を受けた業者が申込み方法や、現時点での開催に関する情報を各学校に提供し、"万博遠足"を促すのがねらい。参加した教員からは、ガス爆発事故への対策など安全性を問う声や、熱中症対策、昼食をとる場所が確保できるのか、などの質問があったと言います。
 教員の1人は説明会後、「パビリオンの内容は未定、会場の下見は開幕後(来年4月13日)の予定と。不明点が多すぎて、これでは"GO"が出せない」と話しました。学校などでは教育旅行の行き先が例年通りなら、数ヵ月前の下見でも間に合うのが通例。ところが万博はまったく未知の上、事故対応や災害時の孤立など、子どもの安全が保障されるのかさえ確認できていません。「県の情報を待っていたら、別の行き先の準備が間に合わなくなる」とも。別の教員は「万博は話題にも上がりません」と一蹴しました。
 「万博招待」に疑問や批判が強まる中、県は5月末から県内の小、中、高、特別支援学校などの計407校に、教育旅行としての参加希望を聞き取り。21日までに回答があった51校のうち、半数を超える27校が参加を希望しないと答えたことが、日本共産党の中山和行県議の議会質問(28日)で明らかになっています。

能登地震から半年。輪島・珠洲(すず)―取材班が見た、新たな苦難

2024年6月30日号 1面掲載

輪島朝市の火災跡写真
輪島朝市の火災跡。近づくと今も焦げた臭いが(19日、輪島市)
先行き見えず…迫られる「自立」
仮設に入っても…

 能登半島地震(1月1日)からまもなく半年。大きな被害を受けた石川県の輪島市や珠洲(すず)市などを19、20両日、取材しました。
 至る所に地震の爪痕が残り、家や生業を失った人たちは「先が見通せない」と沈痛な面持ちでした。建設が進む仮設住宅も"被災者の自立"が前提。支援は狭まり、被災者は新たな苦難に直面していました。
 今号と次号の2回にわたり、被災地の「今」を伝えます。(取材班)
 石川県内では仮設住宅4,828戸が完成し、入居が進んでいます。しかし住めるのは原則2年間(延長可)。
 輪島の仮設住宅で夫(69)と母(97)の3人で暮らす邑田(むらた)冨士子さん(67)は、150㎞ほど離れた片山津温泉に2次避難していました。「食事も出て、よくしてもらいました。でも、やっぱり輪島に」と帰郷。
 希望して入った仮設ですが、そこでの暮らしも苦労が絶えません。足が不自由な母のために車イス対応の仮設を希望していましたが、入居してみるとトイレや風呂に高い段差。手すりを設置してもらったものの「浴槽はすごい跨(またが)ないといけなくて、ばあちゃんは入れない」。こうした環境の急激な変化は、食事を作る・食べる気力も奪っていきます。
 震災後、初めて迎える夏。小学生と幼稚園児を育てる父親(50)は、「断熱もしっかりしていないから、夏は暑いんだろうな」と仮設住宅の天井を見上げました。
 仮設に入る前、テレビ、冷蔵庫、洗濯機は支給されると聞きました。ところが実際は用意されず、やむにやまれず洗濯機を購入したら、「3つのうちどれかを買ったら、ほかも自費で」と言われ、思わぬ出費に泣きました。「あると聞いていた家電がないという話は何軒も聞きましたよ」

「マイナ保険証」"中止の声を大きく"、大津で医師ら反対訴え

2024年6月23日号 1面掲載

"押しつけないで"
「保険証を残そう」と街頭で訴える県保険医協会写真
「保険証を残そう」と街頭で訴える県保険医協会(13日、大津市)
あの手この手で事実上の強制
健康保険証12月に廃止予定

 「マイナンバーカードはそもそも任意だったはずです。命にかかわる健康保険証を人質にとって、マイナ保険証を無理やり使わせようとしています。あまりにひどい」。白衣姿の医師の訴えに、通りかかった人たちが足を止めました。
 政府が従来の健康保険証を廃止するとしている12月2日まで半年を切った13日、大津市内で滋賀県保険医協会が、「安心して医療にかかれるため、反対の声を一緒に上げましょう」と署名を呼びかけました。
 県保険医協会は、県内の医師や歯科医師らでつくる団体。宣伝では、理事長の太田志朗医師らがマイクを握り、▽マイナ保険証を読み取る「オンライン資格確認」の義務化によって、会員の1割前後が閉院・廃院を予定している、▽マイナ保険証はトラブルが続いていて、現行の保険証を廃止すれば大混乱に陥る、▽認知症や障害のある人は使用も保管も困難な場合がある、▽システム障害や災害時には使えない、などの問題点を指摘。「マイナ保険証を使っているのは6%前後。保険証を廃止すれば、無保険の人が大量に生まれかねません。皆さんの反対の声が大きいほど中止の力になります」と訴えました。

"戦争かと思った"、住宅地上空を戦闘機が旋回。低空で何度も

2024年6月9日・16日合併号 1面掲載

大津市上空を旋回する戦闘機の飛行ルートと写真
※クリックで画像拡大
29日と1日、事前通告なしに飛行
住民憤り

 「戦争が起きたのかと思った」。29日と6月1日、大津、草津、守山、野洲各市の上空で、戦闘機や大型の軍事輸送機などの軍用機5機が旋回。爆音を響かせながら低空飛行する軍用機に、住民は不安を募らせました。
 「家の真上を戦闘機が何度も飛んでいる」。29日、「滋賀民報」に県内各地から問い合わせの電話が相次ぎました。その後の取材で、戦闘機は航空自衛隊奈良基地(奈良市)で行われた「基地祭」(1日)の展示飛行のための訓練飛行と判明。真相を知った住民は「なぜ住宅街の上を」「戦争のようで怖かった」と声を震わせました。同基地は、抗議の声を無視して1日に展示飛行を強行しました。
 空自奈良基地によると、県内上空を飛行したのは航空自衛隊のF15戦闘機2機、戦術輸送機C130H1機、T4練習機2機。それぞれ小松、小牧、浜松各基地の所属で、県内上空で合流し、旋回して奈良基地に向かったと言います。担当者は、滋賀県上空で旋回するのは、「時間調整のため」「琵琶湖があるため何かあった時に着水できるから」と回答。県には事前通告さえしていません。
 「滋賀民報」が航空機の航路がわかるレーダーサイトを確認したところ、29日、軍用機は野洲市と大津市の間を10周前後旋回。1日には、F15戦闘機2機が県内上空で接近して飛行。いずれも記者が目視、撮影しました。F15は2022年に墜落し、死亡事故を起こしたばかり。守山市で目撃した女性(72)は「操縦士が見えるほどの低空飛行。下校時間で子どもたちも『怖い』と。こんなことは二度とごめん」と憤ります。

大津市で待機児が激増。保護者から悲鳴

2024年6月2日号 1面掲載

大津市の待機児童数の推移グラフ画像
大津市の待機児童数の推移(毎年4月1日時点) ※クリックで画像拡大
"保育園・保育士 増やして!!"
"どの保育園もいっぱいで"

 大津市が先月15日、4月1日時点の待機児童数が昨年の30倍を超え、過去最多になったことを発表。「隠れ待機児」を含めると516人が保育園などへ入れていない深刻な状況で、保育園に"落ちた"保護者からは「保育園・保育士をもっと増やして」という声とともに、緊急の支援を求める切実な声があがっています。
 大津市の待機児童数(4月)は184人で、昨年の6人から激増。特定の園を希望する場合や育児休業中などで、国の待機児童の定義から除かれる「隠れ待機児」を含めた数でも記録が残る2012年以降で最多です。同時期の「隠れ待機児」を含む数では草津市が129人、野洲市が73人、米原市が6人で、大津市が際立っています。
 同市によれば、特にJR大津駅から比叡山坂本駅周辺のエリアで待機児が急増。市はコロナ禍を理由にした「利用控え」がなくなったことに加え、宅地・マンションの新設で子育て世帯が増加したこと、保育士の確保が難しいことなどを原因にあげています。

大軍拡、今年度滋賀で32億円。核攻撃にも耐える?!自衛隊3基地「強靭化」

2024年5月26日号 1面掲載

大津駐屯地内の建物と16式機動戦闘車写真
大津駐屯地内の建物と16式機動戦闘車(手前左=大津市)
募る不安、"住民が犠牲に"
161棟の「強靭化」を計画

 岸田政権が進める大軍拡で、敵基地攻撃能力の保有などとともに「安保3文書」に盛り込まれた自衛隊基地の強靱(きょうじん)化計画。滋賀にも今年度、32億円の予算が計上され、具体化が進んでいることが取材でわかりました。
 基地周辺の住民からは、「私らの命を危険にさらすようなことはやめて」と不安と怒りの声があがっています。  政府・防衛省は昨年度からの5年間で43兆円を投入して「大軍拡」を推進。自衛隊基地にはそのうち4兆円を計上して、核・生物・化学兵器による攻撃や核爆発に伴う「電磁パルス」にも耐えられるよう、施設の地下化や壁の強化などを進める予定です。強靱化は、日本が敵基地攻撃を行った際の報復攻撃に備えるためと指摘されています。
 県内では今後、陸上自衛隊大津駐屯地(大津市)の全56棟のうち41棟を建て替える見込みで、今年度23億円(前年度26億円)を計上。同今津駐屯地(高島市)は全145棟のうち103棟で、8億円(同3,000万円)。航空自衛隊饗庭野分屯基地(同)は全27棟のうち17棟で、今年度新たに1億円を計上したと防衛省は答えました。基地施設の7割にあたる161棟を強靭化する計画です。

"いのちの危険" 万博会場―遠足・校外学習で「万博へ」県が今月末、学校に案内開始

2024年5月19日号 1面掲載

"子ども連れて行くな"
ガス爆発、災害で孤立の恐れ。避難計画も未定
大阪・関西万博会場ガス爆発事故発生地点など地図画像

 開催まで1年を切った大阪・関西万博。
 パビリオン建設の遅れや事業費の高騰が指摘される中、3月末には会場内でガス爆発事故が発生。さらに、災害時の避難計画がいまだに示されていないなど、来場者の命を守れるのかさえ危ぶまれる事態です。
 ところが滋賀県が、学校の遠足や校外学習で子どもたちを万博に連れていく計画を進めており、今月末には各学校への募集案内を開始する予定。県民からは「子どもを連れて行くな」の声があがっています。

"日米共同訓練やめよ"、「あいば野連」など要請

2024年5月12日号 1面掲載

"危険極まりない"
日米共同訓練の中止を要請する市民ら写真
要請する(手前右から)泉、大野、黄野瀬の各氏(26日、高島市・今津駐屯地前)

 防衛省陸上幕僚監部が、陸上自衛隊中部方面隊と米陸軍との共同(実動)訓練「オリエント・シールド(東洋の盾)」を7月に実施すると発表(先月11日)したことに対し、訓練の中止を求めて26日、高島市民でつくる「あいば野平和運動連絡会」と、日本共産党滋賀県委員会、同党県議団・同高島市議団が、陸上自衛隊今津駐屯地に申し入れました。
 これまで中部方面隊と米陸軍の実動訓練はすべて饗庭野演習場で行われており、今回も同演習場で実施される可能性が高まっています。また、先月10日の日米首脳会談の共同声明では、「(米軍と自衛隊の)作戦及び能力をシームレスに統合」することなどを宣言。米軍が対中軍事戦略を進める中、敵基地攻撃能力を持った自衛隊を組み込んで実施される訓練に、「戦争準備やめろ」の声が強まっています。
 要請には住民など22人が参加。日本共産党の黄野瀬明子衆院1区予定候補、「あいば野平和運動連絡会」の大野哲朗共同代表がそれぞれ要請文を読み上げました。共産党の要請文は、「直前の日米共同声明は、自衛隊が米軍の事実上の指揮下に組み込まれることとなるもので、憲法違反の『敵基地攻撃』にとどまらず、国連憲章違反の先制攻撃のための訓練」と指摘。「あいば野連」の要請文は、訓練は自衛隊の海外派兵に備えるもので、「『人殺し訓練』そのもの」と断じています。

国保料、県内10市町で値上げ。年約8万円増も

2024年4月28日・5月5日合併号 1面掲載

滋賀県内市町の国保料(税)と値上げ額表画像
滋賀県内市町の国保料(税)と値上げ額(2024年4月時点。PDF)
"負担大きすぎる"
「滋賀民報」試算

 個人事業主や65歳以上が加入する国民健康保険料(税)について、4月に保険料率を決める16市町のうち、今年度は10市町で値上げになったことがわかりました。大幅値上げになる市町では、加入者から悲鳴が上がっています。
 国保料(税)の値上げは、国・県が進める保険料統一化の方針を受けたもので、2030年の完全統一に向け、今後さらに上がる見込みです。保険料が払えず、保険証を取り上げられる世帯がさらに増える恐れが強まり、自公政権による「受益者負担」の社会保障制度の破綻は鮮明です。
 値上げになったのは、長浜、守山、栗東、甲賀、東近江、米原、竜王、愛荘、豊郷、甲良の6市4町。4人世帯で試算すると、年間約1~8万円もの負担増です(表参照)。大津、彦根、近江八幡各市では、5~6月に保険料率を決定します。
 昨年まで保険料率が県内で最も低く抑えられていた豊郷町は今年度、一気に最高水準に。同町で自営業を営む竹内秀典さん(67)は、「まるで新しい税金ができたような感覚。あまりにも負担が大きい」と憤ります。現在は一人分の保険料ですが、「これまでも、2人の子どもの独立前は、本当に(保険料が)高くて払うのが大変だった」と振り返ります。
 そもそも国保は、他の健康保険と異なり、世帯人数に応じて均等割が加算され、子どもが増えれば負担も増える制度になっています。事業者が半額負担する「協会けんぽ」に比べ、4人家族での負担額は約2倍。その上、国保加入者は低所得世帯や高齢者が多く、加入世帯も年々減少。国の財政投入は不可欠です。

7月に日米共同訓練。饗庭野(あいばの。高島市)での可能性大

2024年4月21日号 1面掲載

16式機動戦闘車写真
16式機動戦闘車(高島市)
危険な戦争訓練、「米軍の指揮下」具体化

 防衛省陸上幕僚監部が11日、今年度の日米共同訓練として、陸上自衛隊中部方面隊(総監部・伊丹)が行う米陸軍との実動訓練「オリエント・シールド(東洋の盾)」を7月に実施すると発表。訓練の場所は「中部方面区内をメインに調整中」(陸幕広報室)ですが、これまで米陸軍と中部方面隊の実動訓練(計6回)はすべて饗庭野演習場(高島市)を使用していることから、今回も饗庭野の可能性が高まっています。
 饗庭野で実施されれば19回目の日米共同訓練。前回の訓練期間中には、120mm迫撃砲弾が演習場外に着弾する重大事故が起きました。今回は、最新鋭の16式機動戦闘車や120mm迫撃砲の実弾射撃訓練など、「現時点では、すべての装備が(使用する)候補」(陸幕広報室)とする危険な戦争訓練で、反対の声が強まるのは必至です。
 発表前日の10日には、訪米中の岸田文雄首相とバイデン米国大統領が共同声明で、「(米軍と自衛隊は)作戦や能力のシームレスな(継ぎ目のない)統合を可能にする」「指揮・統制の枠組みを向上させる」と日米軍事同盟の変質を宣言。共同訓練では「指揮機関訓練」も予定するなど、海外での戦闘を想定して事実上、自衛隊が米軍の指揮下に入るための地ならしと見られています。

介護保険料・県内2市3町が引上げ。年金から天引き"苦しい"

2024年4月14日号 1面掲載

介護保険料などが記載された年金振込通知書を手にする高齢者写真
介護保険料などが記載された年金振込通知書を手にする高齢者
"保険料もっと下げられる!!"
ため込み基金、全県で145億円
 今年は3年に一度の介護保険料改定の年。年金は実質引き下げ、物価の高騰が続く中、高齢者にとって保険料は大きな負担です。
 「滋賀民報」が各市町に問い合わせると、65歳以上が支払う4月からの介護保険料(第9期の基準月額)は、2市3町(彦根市、米原市、愛荘町、豊郷町、甲良町)が引き上げ、1市2町(大津市、竜王町、多賀町)で引き下げとなることがわかりました。
滋賀県内市町の介護保険料と基金残高表画像
滋賀県内市町の介護保険料と基金残高(PDF)
 介護保険の財源は国・県・市町村の公費50%と、保険料50%(40~65歳未満27%、65歳以上23%)でまかなわれます。このうち、65歳以上の保険料は、ほとんどの人が年金から天引き。残ったお金で生活のやりくりを余儀なくされます。
 徴集された介護保険料は介護給付費(介護サービスなどの費用)として支払われ、残った分は「介護給付費準備基金」として各市町にため込まれています。本紙が「基金」残高を聞き取ったところ、各市町の総計が145億円に及びました(表参照)。
 大津市議会では、大津市社会保障推進協議会が出した保険料引き下げを求める請願が採択され、市は介護給付費準備基金(約55憶円)から今後3年間で37億円を取り崩し、今回の基準月額を635円引き下げ。市民から喜びの声があがりました。

給付型奨学金"理不尽"取り消し、県内719人

2024年4月7日号 1面掲載

滋賀県内各大学の給付型奨学金の状況表画像
滋賀県内各大学の給付型奨学金の状況(PDF)
「困窮学生の応援」のはずなのに…
成績順位で切り捨て
「しっかり勉強しなかった場合、打ち切られます」

 2020年に始まった返済義務のない給付型奨学金制度で、成績要件によって支給が取り消される事例が相次いでいます。県内にキャンパスを置く13大学で、支給を取り消された学生が過去3年間で少なくとも719人にのぼることが、「滋賀民報」の調べでわかりました
 「あんなにがんばったのに、どうして」――。2022年の春、県内の大学に通っていた増田絵理奈さん(仮名・当時3年生)に、奨学金の「廃止」(=取消)を告げる書類が届きました。
 増田さんが利用していたのは日本学生支援機構の給付型奨学金。授業料・入学金の減免と一体で、住民税非課税など困窮世帯の若者たちが経済的理由で進学をあきらめることがないようにと導入されました。しかし、入学後の成績には出席率や取得単位数などに厳しい要件が課せられ、毎年基準を満たさなければ、支給を取り消される恐れがあります。中でも、学部などでの「GPA(成績評価)等が下位4分の1」となった場合は「警告」となり、連続すれば、受給資格が「停止」か「廃止」となる要件が、学生を苦しめています。
◆「奨学」と相容れない  給付型奨学金制度は、全国で約35万人が利用していますが、毎年約1万8,000人が「廃止」されています。「廃止」になれば、授業料減免も同時になくなるため、授業料の全額納付が求められます。経済的困窮状態にある学生を、たちまち学業が継続できない状態に陥らせます。岸田政権は今年度から対象を、中間所得層の多子世帯や理工農学系学部に拡大しますが、それに伴い、成績要件がさらに厳格化される恐れが出ています。
 教育関係者からは、「成績要件は競争主義的・選別主義的な思想に基づいており、経済的に困窮する学生の学ぶ権利を保障する『奨学』の思想とは相容れない」と指摘する声があがっています。

"地域の介護が崩壊する"、現場から悲鳴。4月から報酬引下げ

2024年3月31日号 1面掲載

訪問介護がピンチ
滋賀県内市町の訪問介護事業所数と利用者数表画像
滋賀県内市町の訪問介護事業所数と利用者数(PDF)
"生活に欠かせないのに!!"

 岸田政権が15日、4月からの介護報酬改定(一部6月実施)を告示。全国の介護関係者や市民の反対を押し切り、訪問介護の基本報酬を引き下げました。
 高齢者の生活を最前線で支える訪問介護事業所の経営に大打撃を与えるもので、県内でも「事業が続けられない」「地域の在宅介護が崩壊する」と、怒りと不安の声が噴出しています。
 今年は3年に一度の介護報酬改定の年。コロナ禍で介護・医療分野などの従事者の重要性が再認識され、物価高騰も重なる中で、大幅引き上げが期待されていました。
 ところが厚労省は、サービス全体では1.59%の引き上げとする一方、「収支差率(利益率)が他のサービス形態より比較的高い」などとして、訪問介護の基本報酬を2~3%程度引き下げ。しかし収支差率は事業所の経営実態を反映しておらず、「訪問介護事業所の4割が赤字」という現実が国会質問の中で明らかになっています。代わりに引き上げたという処遇改善加算率も、事業所のマイナスを穴埋めできるものではありません。
 この改定に、県内の介護事業所の経営者は「コロナ禍では通所施設が閉鎖した分もフル稼働。高齢者の在宅生活に不可欠だからと必死でやってきたのに、この仕打ちか」と怒りをあらわにします。
 大津市内で約100人が利用する訪問介護ステーションでは、マイナス改定の影響を試算すると、月額約9万3,000円もの減収に。処遇改善加算を得ても減収分は補えず、4月以降の対応に頭を抱えます。

自民党青年局《不適切》懇親会―「素晴らしいおもてなし」滋賀から参加市議絶賛

2024年3月24日号 1面掲載

滋賀から6議員が参加
懇親会に参加した市議のSNS投稿画像
懇親会に参加した市議のSNS投稿(現在は削除)
裏金問題に批判集まる中、"謝罪で許されん!!"
県民から憤りの声

 自民党青年局が昨年11月に和歌山市内のホテルで開いた「自民党青年部・青年局近畿ブロック会議」の懇親会で、露出度の高い衣装の女性ダンサーを呼び、不適切な行為に及んでいたことに、県民の怒りが沸騰しています。同党滋賀県連からも青年局長・井狩辰也県議(野洲市)ほか、笠谷洋佑、井元潔両大津市議、道下直樹近江八幡市議、森鉄兵東近江市議、中島裕介甲賀市議が参加していました。
 会議には同党国会議員も参加し、懇親会では酒や鯨肉などが振舞われ、ダンサーが2回登場。井狩県議は、チップを口移しで渡したりダンサーに触れる行為はしなかったが、制止したり、苦言を呈してはいないと言います。その場にいた県内の複数の市議も、当日の様子を「地元の素晴らしいおもてなし」「有意義な意見交換ができた」などと自身のSNSで流していました。
 参加費一人5,000円は県連が支出。県連は毎年約2~3千万円の政党助成金を党本部から受け取っています。



編集部短信星アニメ画像

 「アレはおかしい」と読者から。お祭り騒ぎの自民党総裁選の報道です。最多の立候補者は、同党あまたの問題に幕を引き、"国民いじめ" "戦争する国"へと突き進む危険な顔ぶれ。それなのに連日の報道では、候補者が言いたい放題、プライベートまで。政治がよくなりそうな幻想を植え付け、「まるで自民党のプロモーション」との批判を免れません。公正で客観的な報道…あり方が問われます。

【「アレは
  おかしい」】

滋賀民報社・貸しギャラリー

 社屋1階、天窓のある町家のギャラリー「ギャラリーQ」。展示やミニライブ、様々に活用されています。

今週のDATA

8月の最高気温の変化(彦根)

2024年2019年2014年
最高気温36.5℃36.9℃35.8℃
最高平均34.0℃32.8℃31.0℃
35℃を超えた日数10日11日1日
30℃を下回った日数2日6日10日

最高気温平均10年前より+3℃。8月、彦根の最高気温の平均が10年前より3℃高く、5年前と比べて1.2℃上昇していることがわかりました。また、最高気温が30℃に達しなかった日は、今年は2日しかありません。
彦根地方気象台データより

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