今週のイチオシ記事!
福島県・今も3万6千人が避難
2021年3月7日号 2面掲載

福島原発事故は今も大きな被害を与え続けています。福島県では、県が把握しているだけでも最大16万4,865人(2012年5月)が県内外に避難。今も3万6,192人(今年1月)が避難生活を余儀なくされています。
原子炉建屋が水素爆発するという国内初の過酷事故によって、放射性物質が放出・拡散。政府は周辺の11市町村8万8,329人に避難指示を出しました。その後、14年から部分的に指示を解除してきましたが、今も7市町村の337km2が高線量の帰還困難区域に指定されています。
同県の調べによると、双葉町は事故前には7,140人が住んでいました。昨年3月、帰還困難区域の一部が解除されましたが、1人も帰還していません(1月時点)。今も町のあちこちに立入禁止のゲートが設けられ、除染作業が続いています。
避難指示が出された区域で見ると、震災前の住民登録に対して現在住んでいる人の割合はわずか16%。また、現在も区域内に住民票を残している人のうち約8割が居住できていません。
滋賀は病床数・医師数など近畿最低
2021年2月28日号 2面掲載

新型コロナの感染拡大阻止に向けて医療体制の充実が求められる中、病院のベッド(病床)数や医療スタッフの数を調べてみると、滋賀県は近畿2府4県の中で、人口10万人当たりの病床数と医師数、准看護師数が最低であることがわかりました(表参照)。
滋賀県の病床数は、新型コロナ前の2019年10月時点で全都道府県中ワースト6位の999床。もともと少ない病床を、コロナ病床に次々と転用していることなどから、一般病床がひっ迫する深刻な事態を生み出しています。
全国的にも病床や医師の不足は深刻で、ICU(集中治療室)はドイツの6分の1、医師数はOECD加盟36ヵ国中32位です。原因の大本には、政府がすすめた「医療費削減」路線があり、医療体制の充実へと抜本的に切り替えることが急がれます。
新型コロナ検査・県予算、消極姿勢浮き彫り
2021年2月21日号 2面掲載
近畿他府県で実施された「社会的検査」
- ●奈良県
大和郡山市内の医療、福祉入所施設(19施設) 職員900人 - ●京都府
宇治市内の福祉入所施設(14施設) 職員900人
高齢者施設などで新型コロナウイルスの集団感染が多発する中、医療・福祉施設の職員らを対象にした一斉検査(社会的検査)の取り組みが全国で広がり、近畿でも奈良県と京都府が実施。ところが、滋賀県は県民から繰り返し要望されても消極姿勢を続けています。
奈良県は昨年12月から、大和郡山市内の医療・福祉入所施設の職員の希望者約900人を検査。京都府は今月、宇治市内の福祉入所施設の職員約900人を対象に検査を実施。両府県とも昨年9月、実施するための予算を計上していました。奈良県の担当課は、「無症状者が気づかないうちに感染を広げるのを防ぐことが重要」と指摘し、「県のやる気次第」で実施できると言います。
滋賀県が予算案発表―過去最大規模なのに「コロナ対策」は…
2021年2月14日号 1面掲載
検査の抜本拡充、直接支援なし。国スポ(国体)には大盤振る舞い
県が8日、2021年度予算案を発表しました。
一般会計は、前年度比16.9%増の6,670億円で4年連続プラスとなり、過去最大規模。
ところが県民にとって切実な新型コロナウイルス対策はPCR検査の抜本的拡充もないなど極めて不十分な上、危機に陥っている県民生活と中小企業への直接支援がほとんどありません。
一方で、国民スポーツ大会(=国体)の施設建設(総額441億円)は81億9,156万円で、2年連続前年度比4割増の大盤振る舞いの予算です。
新型コロナ対策は1,021億円。内訳は、6割以上が融資のための銀行への貸付金(650億円)。病床確保などに251億円、感染拡大防止策31億円、融資以外の経済・雇用対策68億円、生活支援5億円、教育11億円。いずれも国施策に絡んだ予算で、感染拡大防止で重要とされている医療・介護現場の定期的検査(社会的検査)や感染地域の面的検査の予算はゼロ。地域医療を支えている医療機関・介護施設への減収補てんや、コロナの影響を受けている事業者らへの直接的な財政支援もありません。
その一方で、国民スポーツ大会関連の経費は突出。中卒までの医療費無料化や国保料(税)引き下げ、少人数学級の実施など、切実な県民要求には冷たい予算です。
国スポ施設建設などを見直し、コロナから県民の命と暮らし、雇用と営業を守る予算案への抜本的組み替えが求められています。
新型コロナ緊急事態!! 県が「自宅療養」を拡大
2021年2月7日号 1面掲載

国の施策に追随
新型コロナウイルス感染症の県内の自宅療養者が、昨年末までは0~6人だったのに、先月13日から激増したことがわかりました(グラフ・表参照)。自宅療養者数の推移は、厚労省と県発表資料などによるものです。
県ではこれまで感染患者の治療は、入院または宿泊療養が原則でしたが、12日、三日月大造知事が記者会見で「医療体制はひっ迫した状況で非常事態」「今後は自宅療養も新たな選択肢に」などと、方針転換を表明し、その直後から急増しました。
当初、入院が原則だった感染患者の治療について厚労省が昨秋、政令改定で入院勧告・措置の対象を重症化リスクがある患者などに限定。中等症・軽症・無症状の患者は、宿泊療養か自宅療養とする方針に転換し、今回、県が国の方針にあわせたものです。
県担当課によると自宅療養の対象は65歳未満で、持病がなく、軽症・無症状患者で医師が判断。保健所が重症化の目安となる血中酸素飽和度や脈拍数を測るパルスオキシメーター(先月末までに300台購入)を届け、1日最低1回、健康観察のために電話すると言います。
しかし、1日1回の電話などだけで患者の容態の急変に対応するのは困難。病床確保など医療体制の抜本強化で、自宅療養を認めない方針への再転換が急がれています。
新型コロナ・患者受入れ"病床足りない"
2021年1月31日号 1面掲載

滋賀県内で新型コロナウイルスに感染した患者を受け入れる病床が足りなくなる事態が起きています(表参照)。
病床の90%以上が埋まることもあり、入院を待って自宅で療養する人も増加。病床確保とそのために必要な医療機関への財政支援が急いで求められています。
新型コロナに感染した患者は、入院できない場合、ホテルでの宿泊療養か、自宅療養となります。県の発表によると25日時点の入院患者は189人。空き病床は111床(病床使用率63%)。9日には使用率が最も高くなり(92%)、その前後には、政府の指標で最悪の「ステージ4」になるなど、病床が足りない状況が続きました。
もともと県は昨年6月、常に140床を確保し、感染状況に合わせて最大450床を用意する計画を立てていました。しかし「病床の効率的な運用」(国対策本部)を目的に10月、菅政権が入院勧告・措置の対象を重症化リスクがある人などに限定するよう政令を改正。このことを「大きなきっかけ」にして、県は同月、「病床機能を短期間に転換することは対応が難しく、病院の負担になっている」ことを痛感しながら、計画を変更し確保病床を最大280床に減床。19日、病床が足りないことから最大347床に増やすと発表しましたが、陽性者数には足りません。
自民党、企業・団体献金など増加
2021年1月24日号 2面掲載

県選挙管理委員会が先ごろ、政治資金規正法に基づく2019年の「政治団体の収支報告書」を公表しました(表参照)。
自民党は、「政治とカネ」疑惑の原資となっている企業・団体献金と、税金を山分けする政党助成金を増やしており、2つの収入だけで1億9,461万円にのぼりました。
自民党への企業・団体献金は土木建築会社からが多く、最多は上野賢一郎衆院議員(2区)が代表の支部で1,566万円。次いで大岡敏孝衆院議員(1区)が代表の支部の1,492万円。支出では、組織活動費を名目に、料亭での食料費や懇親会、忘年会、旅行にも使っていました。
公明党は、形を変えた企業献金でもあるパーティー収入が843万円にのぼり、日本維新の会は、収入の94%を政党助成金でまかなう「税金頼み」。
一方、日本共産党は政党助成金も企業・団体献金も受け取らず、党費と個人献金、「しんぶん赤旗」発行などの事業収入のみで財政を支え、政党助成金の廃止と企業団体献金の禁止を主張しています。
核兵器禁止条約・92%が"政府は参加を"
2021年1月17日号 1面掲載

「滋賀民報」が調査
今月22日、核兵器禁止条約が発効します。
同条約は、世界の多くの国々が署名・批准していますが、唯一の戦争被爆国である日本政府は署名・批准していません。
この核兵器禁止条約について、「滋賀民報」が7、8両日、県内各地の街頭で県民104人に聞いたところ、条約発効を「歓迎する」と答えた人が96%、「日本政府は参加(署名・批准)すべき」が92%にのぼりました(グラフ参照)。「条約に署名する政府に転換を」の声が強まるのは必至です。
核兵器禁止条約は、最も残虐な大量殺戮兵器である核兵器を、人類史上初めて国際法によって禁止するものです(12月11日時点、同条約の署名86ヵ国、批准51ヵ国)。
「滋賀民報」の緊急世論調査は、大津、草津両市の駅頭などで、記者が104人に対面で、「核兵器禁止条約の発効をどう思いますか」、「日本政府はどうすべきと思いますか」と質問し聞き取ったもの。
条約発効を「歓迎する」と答えた人は100人。「歓迎しない」はわずか4人。日本政府が「参加(署名・批准)すべき」が96人、「参加すべきでない」は6人。
回答者からは「被爆国なのだから条約に参加すべき」(大津市・80)など政府に署名・批准を迫る声が多く、中高生からも「憲法9条で戦争を放棄した日本こそ、核廃絶の先頭に立つべき」(草津市・18)などの声が出ていました。
2021年の民報・新連載が続々登場
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■4面に大型歴史企画など
- 滋賀大学名誉教授・小笠原好彦さんが「近江の古墳の性格と築造氏族」を連載
- 神戸大学大学院名誉教授・尼川タイサクさんの愛情あふれるエッセイ「ニホンミツバチと暮らす」が新登場
- コロナ禍でも祭り気分に。画家・福山聖子さんが久々連載。絵と散文「ふるさとのまつり」
- 大好評の「淡海の妖怪」は3月まで。「読者の文芸」、「天井桟敷」、「ワクワクシネマ」も続きます。
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■3面の家庭欄にも新連載
- 難病と闘いながら書道を続ける青年・連山昂太さんの作品を紹介する「昂太の書」が登場
- 龍谷大学教授の島純さんが、いま注目度アップの「発酵食」をやさしく、楽しく紹介
- ロングラン記録を更新中の「マンガ日記―薫君と歩む日々」は、まだまだ続投
- 「みんぽうクイズ」には、人気の数字パズル、まちがいさがしに加え、クロスワードパズル、しりとりクイズ、詰将棋などが不定期登場
2021年は総選挙の年。
国民をいじめ抜き、「新型コロナ」に無為無策の菅政治。政権交代で新しい政治をめざす県内の動き、たたかい、県民の声などをつぶさに伝えます。
若者100人に突撃質問! "政治を変えたいですか?"

思わない 19%
"政治を変えたいですか?"――。
「滋賀民報」が、県内の若者にこんな質問をぶつけてみました。その結果、「変えたい」と答えたのは、81人(グラフ)。
感染症対策、政府与党の疑惑追及、消費税減税…次つぎと要望が寄せられ、多くの若者が、今の政治のあり方に疑問を感じていることがわかりました。
寄せられた若者の声
- 首相の疑惑がなにも説明されず納得できません(大津市・15歳・男子高校生)
- コロナで家計が大変。せめて学費を減らして(草津市・17歳・男子高校生)
- バイト先でパワハラ。バイトの立場も守って(草津市・17歳・女子高校生)
- 同性婚、LGBTs、夫婦別姓を認めてほしい(湖南市・18歳・男子高校生)
- 母が看護師で大変です。医療にもっとお金使って(草津市・19歳・女子大学生)
- コロナ対策が遅すぎる。検査をもっと増やして(栗東市・20歳・女子大学生)
- 消費税は5%に戻してほしい。恩恵ありません(大津市・21歳・飲食業男性)
- 返さなくていい奨学金をもっと充実してほしい(大津市・23歳・会社員女性)
- 「GoTo」はコロナを悪化させたと思う(栗東市・29歳・営業職女性)
コロナ感染拡大阻止へ、公費負担で検査拡大を
2020年12月20日号 1面掲載
PCR検査予算わずか12億円なのに…
- 「今こそ滋賀を旅しよう」キャンペーン …7億680万円
- 国スポ(国体)施設 …60億7,141万円
- Go To イート …17億5,000万円
滋賀県のPCR検査に対する消極的な姿勢は、県予算額に端的に示されています。4月以降に計上した検査の予算額(11月補正予算案含む)は12億8,161万円で、今年度の県予算総額(7,242億円)のわずか0.17%、コロナ対策予算(1,448億円)の0.9%です。
その一方、クーポン券を配布して宿泊を促進する「今こそ滋賀を旅しよう」キャンペーンに7億680万円、国民スポーツ大会施設整備費には60億7141万円も投入。政府は約2兆円かけて「GoToキャンペーン」を推進しており、「GoToイート」は滋賀県分だけで17億5,000万円にのぼります。
大津市内の老舗旅館の女将は「お客さんの命、健康が心配です。『GoTo』や『滋賀旅』は一旦中止して、終息してからに。感染対策こそ強めてほしい」と話しています。
大飯原発―設置許可、取消し
2020年12月13日号 1面掲載
「看過し難い過誤、欠落がある」
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)について、住民が原子炉設置許可の取り消しを求めた裁判で4日、大阪地裁が原子力規制委員会の判断に誤りがあるとして、許可を取り消す判決を出し、住民が勝訴しました。
裁判は、滋賀県5人を含む11府県の住民127人が大飯3、4号機について、「基準地震動」(原発で想定される地震の最大の揺れ)が過小評価されているとして、原子力規制委員会の設置変更許可処分の取り消しを求めていました。
判決で森鍵一裁判長は、原発の新規制基準が「想定を超える規模の地震が発生しうることを考慮しなければならないとしていた」ことや、地震の規模が平均値より大きくなる「ばらつき」も考慮すべきことを指摘。規制委員会が「ばらつき」による想定の上乗せを検討せず、「調査・審議及び判断の過程に看過しがたい過誤、欠落がある」、「(許可)処分は違法」と断じました。
東京電力福島原発事故後、原発の設置許可を否定した司法判断は初めて。規制委員会は同様の方法で他の原発も評価しており、判決が大きな影響を及ぼすのは必至です。
市民と野党で "必ず政権交代を"
2020年12月6日号 1面掲載

「菅政権は学問に手を突っ込むな! 学術会議会員を直ちに任命せよ! 11・28市民と野党のつどい」が28日、近江八幡市内で開かれ、参加した約250人が、菅政権の強権政治を許さず政権交代へ総力をあげようと決起しました。主催は、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民の会しが」、「安倍9条改憲NO!市民アクション滋賀」など。
つどいでは、「市民の会しが」の斎藤敏康代表が主催者あいさつ。「市民連合」呼びかけ人で法政大学教授の山口二郎氏が「菅ファッショとの闘いから政権交代に」と題して講演しました。山口氏は学術会議の任命拒否問題などに触れて「安倍・菅政権を見れば民主主義の崩壊は決して絵空事ではない。本質は専制政治」と指摘。「政権交代の大きなうねりをこの滋賀から起こして」と訴えました。
立命館大学の倉田玲教授がアピール後、立憲民主党、日本共産党、社民党、新社会党の各代表があいさつ。また、日本共産党の佐藤耕平衆院3区予定候補が「市民と野党が力を合わせれば政治は変えられる」と決意を表明しました。1区から4区の「市民の会」が活動を報告。嘉田由紀子参院議員、国民民主党県連代表の斎藤アレックス氏らがメッセージを寄せました。
養護学校に「設置基準必要」―文科相初めて答弁
2020年11月29日号 1面掲載
保護者ら"涙が出るほど嬉しい"
過大・過密の解消が急がれる特別支援学校の問題で17日、日本共産党副委員長の山下芳生参院議員が参院文教科学委員会で、10日視察した草津養護学校の実情(15日付既報)を示して、「大規模化による子どもたちへの弊害を放置してはならない」と追及。これに萩生田光一文部科学相が「設置基準が必要」と文科相として初めて明言するとともに、「適正規模が望ましい」と答弁。国会中継を見た保護者や教員らが「養護学校分離・新設への大きな力になる」と喜んでいます。
山下氏は、この日の質問時間すべてを使って、過大・過密化する特別支援学校の実態を示し、改善を求めました。問題の背景として、特別支援学校にだけ設置基準がないことを指摘。教育環境の改善を目的とした設置基準の策定・運用を求めた上で、草津養護学校の大規模化による弊害を詳しく紹介しました。
同校は、児童生徒数が開校時の3倍以上になり、①給食施設が能力を超え、教職員の半数以上に給食を提供できず、食育に支障が生じている、②教師が子どもの顔と名前を一致できず、関係性が築けない、③障害の特性から大人数が苦手な子が、スクールバスに乗れなかったり、学校に行けなかったりしているとして、「子どもの成長と発達に深刻な影響を与えている」と指摘。期限を設けた特別支援学校の計画的整備と、都道府県の取り組みを後押しするための思い切った予算措置を求めました。
コロナ第3波・発熱者の「難民化」"心配"
2020年11月22日号 1面掲載

行政検査の拡充こそ必要
新型コロナウイルスの感染が急拡大し、全国的に「第3波」の様相です。県内でも5日、一日あたりの新たな陽性者が過去3番目に多い21人に。
県は1日から感染を判定するためのPCR検査を基本的に地域の診療所などで行うよう変更していますが、医師などからは「現場まかせには無理がある」、「むしろ検査が受けられない事態に」と懸念する声が上がっています。
◇
感染の心配がある人の検査は、これまでは県と大津市がそれぞれ設置した「帰国者・接触者相談センター」が判断し、検査医療機関を紹介。しかし今月1日、「受診・相談センター」に改称し、「患者の近くの診療所を案内する」業務に大幅縮小しました。
◇
県は、発熱などの症状がある場合は「かかりつけ医や近くの診療所・クリニックに電話相談し、診察・検査を」と県民に啓発。新型コロナの疑いがある人を診察できる診療所は420ヵ所、検査・検体採取を行う(可能性がある)診療所は256ヵ所(いずれも6日時点)、などとして、診療所などで1日最大1,730件の検査が可能と説明します。
ところが、この検査については「実際に検査できるかどうか承知していない」(県健康医療福祉部)のが実態。これまでの検査実数も公表しておらず、医療関係者からは「診療所での検査は今の支援体制では非常に難しい」との声が出ています。
さらに診療所が閉まる休日・夜間の検査体制にも不安が。県は休日急病診療所や救急病院などで対応すると話す一方で、「基本的に検査はできない」と言い、重い症状で緊急入院する場合を除き、検査を受けるのは難しい状態です。
学術会議任命拒否・大学生7割"異議あり"
2020年11月15日号 1面掲載

"学問の自由を守れ"
日本学術会議が推せんした会員候補105人のうち6人の任命を菅義偉首相が拒否した問題で、「滋賀民報」が5日、県内の大学生50人に聞いたところ、74%が「任命拒否はおかしいと思う」と回答(円グラフ参照)。問題となってから1ヵ月が経ちましたが、多くの学生が理由を示さない任命拒否に疑問と批判を強めていることがわかりました。
「滋賀民報」の調査は、滋賀大学(大津キャンパス)、滋賀医科大学、立命館大学(びわこ・くさつキャンパス)の学生50人を対象に、記者が直接聞き取り。「菅首相による任命拒否をどう思いますか」と質問し、意見を聞きました。「おかしいと思わない」は26%にとどまりました。
自由記述の意見欄には、「理由を言わないのはおかしい」(滋賀大学・19・女性)など、任命拒否の理由を説明しない菅首相への批判が集中しました。
立命館大の男子学生(18)からは「考え方が違うからと任命を拒否するのは、『学問の自由』を保障していないのではないか」との声が出され、同大学の別の男子学生(19)は「政権に異を唱えた学者が拒否されたとなれば、それは菅政権の独裁」と指摘。滋賀大学の女子学生(19)は「考え方の違いで拒否するやり方は、戦前と同じ」と話すなど、学術研究の独立性と学問の自由を脅かす菅首相の姿勢に、厳しい批判が相次ぎました。
通所・訪問介護の事業所、相次ぐ廃止
2020年11月8日号 1面掲載
市町 | 訪問介護 | 通所介護 |
---|---|---|
大津市 | 4 | 8 |
長浜市 | 2 | |
近江八幡市 | 1 | |
草津市 | 2 | |
守山市 | 1 | |
野洲市 | 1 | |
高島市 | 2 | 1 |
東近江市 | 2 | 3 |
米原市 | 2 | |
愛荘町 | 1 | |
合計 | 16 | 14 |
10月1日現在。通所介護事業所には地域密着型含む
コロナ禍のもと、介護が必要な高齢者が自宅で生活する上で欠かせない通所介護(デイサービス)や訪問介護(ホームヘルプ)を行う事業所の廃止が相次いでいることがわかりました。
県・市町に問い合わせたところ、今年1月から10月までに廃止したのは、訪問介護が16事業所、通所介護(地域密着型含む)が14事業所(表参照)。このほか居宅介護支援(8以上)、訪問看護(6)、訪問入浴介護(2)、認知症対応型通所介護(1)などの事業所も廃止していました。
市町別では、通所介護の廃止が最も多かったのが大津市で、昨年1事業所だったのが8事業所に急増。
廃止した理由にあげているのは、「コロナの影響で職員を確保できない」(大津市)、「感染予防と収益減少を受けて」(同)、「近くの病院が発熱外来を設置した」(東近江市)などで、コロナ感染症の影響が深刻な人手不足に拍車をかけ、サービスの利用控えやコストの増加を招いているとみられます。
コロナ禍・中小企業"経営環境さらに悪化"
2020年11月1日号 2面掲載

滋賀県中小企業家同友会が「コロナ禍アンケート」
滋賀県中小企業家同友会が先月、7月に行った県内中小企業214社への「コロナ禍アンケート」の結果を公表し、「経営環境はさらに悪化傾向」と指摘しました(グラフ参照)。
アンケートは5、6月に実施した1回目に続き2回目。同会政策委員長・谷田良樹さん(行政書士谷田良樹事務所所長)が報道機関への活動報告として発表しました。
売上の増減の問いに、前回のアンケートでは、53.8%が前期に比べて減少と回答。今回は、4月と比べて30.4%が減少と答え、39.7%が変わらないと回答しました。谷田さんは、4月に売上が減少してさらに7月にも減った企業があるとして、「定額給付、持続化給付などの生活維持、経営維持支援は単発にとどまっており、企業経営も、社員の生活も日に日に厳しさを増している」と報告しました。
また、7月の収支状況では36%が赤字と回答。雇用調整助成金などの補助金の額に「満足」と答えた企業は10.8%にとどまりました。
同会は8月、県などに対し「中小企業家の要望と提案」として、実態調査や中小企業活性化のための施策、消費税を当面1~2年はゼロ税率にするよう政府に要請することなどを求めました。
大津市上空をまたオスプレイが飛行
2020年10月25日号 1面掲載
米軍機オスプレイが15日16時10分頃、大津市の市街地上空に突如現れました。轟音に気づいた本紙記者が社屋(大津市中央)北側で目撃し、撮影。西の空へと飛行し、数秒で雲の中に隠れました。大津市内でのオスプレイ目撃は、本紙が確認しただけでも昨年2月、12月、今年2月に続くものです。
この日の飛行について、滋賀県防災危機管理局は「全く聞いていない」、防衛省近畿中部防衛局は「オスプレイ情報は入っていない」と言います。しかし、ツイッターには、東京や浜松、名古屋、岩国などで目撃情報が相次ぎ、岩国市基地政策課は「17時頃、オスプレイ2機が岩国基地に着陸したのを見た。その後、離発着をしていた」と明言。これらの目撃時間をつなぎ合わせると、大津市上空を飛んだのは米軍横田基地(東京都)配備のCV22オスプレイで、米軍岩国基地まで飛行したことは、ほぼ間違いないと思われます。
これまで県内で目撃されたオスプレイは、饗庭野演習場での日米共同訓練か、タイでの多国間訓練「コブラゴールド」参加によるものでしたが、今回は「(オスプレイが参加する)日米共同訓練(26日~来月5日)とは関係ない」(防衛省統合幕僚監部)と言います。
米軍横田基地は本紙の問合せに、「(飛行ルートは)言えない」と回答を拒否。危険な米軍機オスプレイが、日本の上空を我が物顔で飛び回っている実態が、あらためて浮き彫りになりました。
国民健康保険料(税) ズシリ―"払えない!!"
2020年10月18日号 1面掲載

3割が国保証取り上げ
コロナ禍のもと、市町が運営し、自営業者や多くの非正規労働者、無職の人などが加入する国民健康保険制度(国保)で、国保料(税)を滞納していた世帯が全加入世帯の10.48%にあたる1万8,038世帯にのぼっていたことが、県医療保険課の調査(6月1日現在)でわかりました(表参照)。また、滞納を理由に窓口負担が10割となる「資格証明書」の交付が340世帯、期限が短い「短期保険証」の交付が5,655世帯。合わせると正規の被保険者証(国保証)を取り上げられている世帯が5,995世帯にのぼり、滞納世帯の33.2%を占めました。
最大の原因は、格差と貧困の広がりで国保料(税)が高すぎて払えないことにあります。
こうした中、日本共産党が、公費1兆円を新たに投入して国保料を大幅に引き下げ、中小企業の労働者が加入する協会けんぽ並みにと提案。同時に、国保証取り上げの制裁措置を定めた法律を改正し、取り上げをなくすよう求めています。
"被害者は国民全体"―学術会議問題、松宮教授に聞く
2020年10月11日号 1面掲載
立命館大学教授(長浜市出身)・松宮孝明さんの話
任命から外されたと聞いた時、「大変な所に手をだしてきたな、この政権は」と思いました。
学術会議は内閣総理大臣の下にはあるが、仕事は独立して行うと日本学術会議法で定められています。今回の問題の当事者は、推薦名簿を拒否された日本学術会議で、被害者は、学術によって恩恵を受ける人々全体です。
学術会議法に書かれている選び方、首相に任命拒否権が事実上ないことを全然分かっていないと思います。なぜ学術会議が独立して仕事をしないといけないのかと言うと、日本の学問・研究の自由を守るためです。政権による介入は、法律違反であると同時に憲法違反の疑いもあります。
官房長官は、そうじゃないと言い張るんですが、理由を説明しないし、できない。軍事研究をやらないと言っている学術会議や大学を、言うがままに支配したいということの表れだと思います。
◇
首相のルールに対する態度が問題です。国のトップがルールを守らない、守れないということを国民に露呈してしまったことが最大の問題で、政権が「ルール無視をやっていくぞ」と宣言したようなものです。だから学者・研究者だけの話ではなく、国民全体に関わる重大な問題です。多くのみなさんに、声をあげていただきたいと思います。
高校生らの名簿4,261人分、自衛隊に
2020年10月4日号 1面掲載
対象年齢 | 人数 | 名簿提供日 | |
---|---|---|---|
彦根市 | 18、22歳 | 1,683 | 2月6日 |
高島市 | 857 | 3月26日 | |
東近江市 | 1,721 | 7月1日 | |
合計 | 4,261 |
個人情報提供
自衛官募集業務に協力するために、彦根、高島、東近江の3市が若者の個人情報を記した名簿(宛名ラベル含む)計4,261人分を自衛隊に提供していたことが、本紙の調べでわかりました。対象となった高校3年生らからは「勝手に個人情報を自衛隊に知らせるなんて」と、怒りや不満が噴出しています。
自衛官募集対象者の名簿は、防衛省が「自衛官適齢者の名簿提供」として自治体に求めており、県内では平和団体などが「プライバシーの侵害だ」などと抗議。昨年まではすべての市町が応じていませんでした。
今回名簿を提供した3市は、いずれも自衛隊滋賀地方協力本部から依頼を受けたと言い、対象者は今年度中に18歳になる男女と22歳になる女性(高島市は男女とも)。提供した個人情報は、住所、氏名、生年月日、性別。
3市の担当者は、「自衛隊から強い要望があり、他市も提供したと言われた」などと話していますが、3市を除く他の市町は「住民基本台帳法でできるのは閲覧だけ」、「プライバシー侵害の恐れがある」として名簿を提供しませんでした。
東近江市在住の男子生徒(八日市高3年)は「自衛隊に興味がないのに何で募集案内が送られてくるのか疑問に思っていた」と話し、彦根市在住の女子生徒3人(彦根東高3年)は、「(名簿提供は)イヤ」、「やめて」と怒っていました。
インフル予防接種、県内全市町が助成拡充
2020年9月27日号 1面掲載

インフルエンザ予防接種
"コロナとWのとき助かる"
「インフルエンザの予防接種が無料になった!!」――。
秋から冬にかけて新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行するのを防ごうと、県がインフルエンザ予防接種費用の助成制度を新設。これを受け、各市町が無料化や助成を拡大しており、市民から喜ばれています。
インフルエンザの予防接種は、1回3,000~4,000円(13歳未満は2回接種)。市町は高齢者らを対象に助成制度を設けていますが、滋賀県が9月議会で高齢者、子ども、妊婦の接種費用を1回1,000円助成する方向を示したことを受け、助成拡充などの検討をすすめています。
県内では、長浜、湖南両市が助成対象を全市民に拡大。他の17市町は65歳以上の高齢者、6ヵ月児~中学3年生(2市は高校生も)、妊婦を対象に助成。このうち12市町が65歳以上を無料化、7市町が妊婦を無料化する方向(意向を含む)であることが、本紙の調べでわかりました(9月18日現在。表参照)。
コロナで減収・国保料 "免除された"
2020年9月20日号 1面掲載

"活用しよう"
「国保料など約50万円が全額免除。助かりました」――。
東近江市大森町で料理店「池源」を経営する池之内源造さん(68)が喜びます。「高すぎて払えない」の声に押され、国が新型コロナ感染症の影響で3割以上の収入減が見込まれる世帯への国保料(税)などの減免制度を創設。各地の民商が「制度を活用し、生活と営業を守ろう」と取り組み、免除される業者らが増え始めています(表参照)。
池之内さんは妻と母親の3人世帯。収入が5割以上減少し、前年の総所得金額が300万円以下のため全額免除に。減免額は、今年2月から来年3月までの国保料(約23万円)と介護保険料(約22万円)、後期高齢者保険料(約5万円)の計約50万円になります。
滋賀国スポ(国体)プール事業費・157億円に
2020年9月13日号 1面掲載

県民ら絶句、愛媛国体の18倍
新型コロナウイルスの影響で、今年鹿児島県で開催予定だった国民体育大会(2024年から国民スポーツ大会に改称予定)が延期されました。24年開催予定の滋賀県は、主催者団体から1年延期を要請されており、結論も出ていないと言うのに、国スポ用プール(仮称・草津市立プール)の整備事業費を大幅に増額。157億円(県負担108億円)に膨らませようとしていることがわかりました。県民は「またか」と絶句。「コロナ対策にこそ回すべき」などの声が出ています。
プール整備費の増額は、草津市が2日開会の市議会に補正予算案として提案。予算説明書によると、今年2月の入札が事業者の辞退で中止になったことから、「事業者のリスク低減・解消を図るため」として、事業費を入札時より28億2,900万円増額し、157億6,999万円に。「愛媛国体」用プール(約8億5,000万円、17年竣工)の18倍以上にものぼります。
学生4人に1人が休学視野に
2020年9月6日号 3面掲載

立命館大学新聞社が調査
「大学を続けられるか…」。コロナ禍で大学生の生活が一変する中、立命館大学新聞社の調査では、同大に通う学生の4人に1人が休学を視野に入れていることがわかりました(グラフ参照)。
調査は8月にインターネット上で行われ、同大衣笠キャンパスの756人、びわこ・くさつキャンパス(BKC)の404人、大阪いばらきキャンパスの254人が応じました。「現在、秋学期以降の『休学』を考えていますか」との問いに、5.4%が「本格的に考えている」、20.2%が「どうするか考えている」、74.4%が「考えていない」と回答。同様に「退学」を問うと、2.3%が「本格的に考えている」、7.5 % が「どうするか考えている」と答えました。
BKCに通う経済学部の3回生は調査について、「もともと学費が高いと感じる学生は、オンライン授業でさらに負担に対する見返りが少ないと感じ、休学などを考える人もいるのでは」と話していました。
滋賀県内待機児・過去最高の1,260人
2020年8月30日号 1面掲載

"3回落とされた"
県内の保育園に入所を申し込んだのに入れなかった子どもの数が増え続けており、4月1日時点で厚生労働省定義の待機児童が過去最多の495人(昨年比34人増)、「隠れ待機児童」が過去最多の765人(同224人増)となり、合計1,260人(同260人増)にのぼっていたことがわかりました(表参照)。各地で「保育園を落とされた」と悲鳴が上がっています。
県子ども青少年局がとりまとめたもので、待機児童数1,260人は、18年前(119人)の10倍以上です。
待機児童が激増しているのは、保育ニーズが広がっているにも関わらず、認可保育園が不足していることと、低賃金などが改善されず保育士が不足しているためです。国と自治体の責任による認可保育園の大増設と、保育士の確保が急がれます。
病床使用率、滋賀は全国最悪
2020年8月23日号 3面掲載

現場は…経営悪化、人員不足
"病床確保には財政措置を"
新型コロナウイルスの新規感染者が増える中、県内の病床確保が追い付かない事態になっていることがわかりました。
10日には、感染症病床の使用率が78.1%に達し(表参照)、病床がひっ迫。厚労省の資料でも、11日時点で47都道府県で最悪。病床確保が進まない背景には、現場に負担を押し付ける国と県の対応の問題があります。
「コロナ病床を増やせば、病院経営も人員体制も非常に厳しくなる。病院の役割を果たせと言われるが…」。新型コロナの患者を受け入れている病院の職員が苦悩を語りました。
県内の複数の病院で、新型コロナが拡大した3月から、受診控えや手術の延期などで、億単位の赤字に。その傾向は新型コロナの患者を受け入れている病院ほど顕著です。
現在の診療報酬のあり方では、新型コロナの病床を空のまま確保しておくことが経営をいっそう圧迫することから、6月2日には県内14病院で278床あった病床の約半数が一般病床に戻されました。
人員体制も深刻です。コロナ病棟の多くを支えているのは、もともと他の病棟で勤務していた看護師ら。どの病棟も人員に余裕はありません。新型コロナの患者を受け入れれば、それだけ病院全体がひっ迫することになりかねません。
厚労省が14日公表した、11日時点の全国の病床使用率でも、滋賀県は75.3%と最悪(県とは集計時刻が異なる)。関西では和歌山(9.4%)が最少。奈良(16.3%)、京都(20.2%)と続き、大阪は37.6%。医療体制の確保は滋賀県こそ急務です。
[被爆75年・証言Ⅱ]"ピカッと光が"
2020年8月9日・16日合併号 1面掲載
"母は私らの名前を呼んで…"
75年前の8月9日、大津市在住の柳原栄さん(80)、充子(まさこ)さん(旧姓=土井・80)夫妻は、長崎市内で被爆しました。2人とも5歳でした。「あの光景がまぶたに焼き付いています」
◆妹と母を失って
栄さんはあの日、爆心地から約1.5kmの長崎市竹の久保の自宅に次兄の繁さん(当時9歳)といました。母親のレイさん(当時45歳)は近くの配給所に「そうめん」があると聞き、1歳の妹・啓子さんをおんぶして並んでいました。
11時2分、「ピカッと光を見ました」。啓子さんは即死。栄さんはリヤカーに乗せられて帰ってきた2人を覚えています。「母は体がドロドロでした」。2日後の11日、「『栄、繁』と私らの名前を呼んで亡くなりました」
「『母に水をやれなかったのが悔やまれる』と姉(=葉子さん、当時12歳)が言うんです。だから私は今も仏壇にお水をお供えしています」と話し、合掌。充子さんは「レイさんに会いたかった」と涙ぐみます。
"いま語り継がないと"―滋賀県内被爆者数 半減
2020年8月2日号 1面掲載

滋賀県内被爆者数の推移
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ヒロシマ、ナガサキへの原爆投下から75年。被爆者健康手帳を持つ全国の被爆者は13万6,682人(3月末現在)となり、最も多かった1980年の37%に減っています。滋賀県でも7月1日現在271人(表参照=初資料)、平均年齢は82.76歳(全国83.31歳)で、高齢化が加速。悲惨な被爆体験を若い世代にどう語り継いでいくのかが、大きな課題です。
被爆者数が最も多かったのは、95年の536人。以降25年間でほぼ半減し、市町別では、最も多い大津市で97年当時192人(旧志賀町含む)でしたが113人に減少。2番目に多い草津市は、49人(2008年)から32人に。
草津市で50年以上にわたって被爆者支援を続け、被爆の証言集を繰り返し作成してきた草津平和委員会の中村久郎さん(87)は「今こそ被爆者の声に学び、『核兵器のない世界』をつくるため、署名活動を広げないと」と力を込めます。
夏も登校、給食は…全県調査
2020年7月26日号 1面掲載

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い一斉休校が続いた影響で、県内の小中学校では夏休みを短縮して授業が続いています。
子どもたちが待ち望んだ給食が全市町で再開されていますが、「ちょっと物足りないかも…」。通常の給食が提供できない市町もあり、対応はさまざま。感染防止と夏季の食中毒対策に追われる実情も浮かび上がりました。
各市町の学校給食は6月1日から順次再開。最後となった大津市が同月22日に再開し、全市町で実施されていますが、感染防止のために配膳の手間を減らそうと、4市町がおかずの品数を少なくするなどの対応をしています。このうち長浜市では主食とおかずを一皿に乗せ、それ以外に個包装の1品をつける献立に。
例年なら夏休みの時期に授業を行うことから、食中毒対策などで新たに4市町が既製食品を使ったり、品数を減らす献立に。このうち野洲市では、小学校で16日間、中学校で19日間は給食センターでの調理をやめ、個包装の既製品を利用した給食を提供。例えば、個包装のパンにジャム、魚肉ソーセージ、デザート、牛乳といった献立です。
また7、8月の一部の登校日で給食を提供しない市町も。ほとんどは午前中授業ですが、大津、守山、高島各市では、弁当を持参させて午後の授業を行う学校もあります。 新型コロナの第二波が懸念される中、子どもたちの健康、食育、家庭の負担軽減をどのように両立させていくのかが大きな課題です。
介護事業者のコロナ減収→利用者負担に
2020年7月19日号 1面掲載

デイサービスなどの利用料、使ってないのにとられる
"納得できない!!"
「デイサービスを5時間しか使っていないのに、7時間分の利用料を払わなければならないのは納得できない」。
厚生労働省が先月、新型コロナウイルス感染症対策を理由に、介護保険サービス(通所系サービス、ショートステイ)について、介護事業者が実際のサービスより多く利用料を請求できる介護報酬算定の「特例措置」を出したため、利用者や事業者らから戸惑いや怒りの声が続出しています。
厚労省が出した「特例措置」は、通所系サービス(通所介護=デイサービス、通所リハビリテーション=デイケア、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護及び介護予防認知症対応型通所介護)とショートステイ(短期入所生活介護、短期入所療養介護)について、利用者の「事前の同意」をとることを条件に、実際に行ったサービスより多い介護報酬の算定を6月分から認めるものです。「臨時的」としていますが、期限は示していません。
コロナ禍のもと、通所系サービスやショートステイは「感染リスクを心配した利用控え」などで大幅な減収になっており、介護事業者への財政的補償が不可欠です。ところが厚労省は、利用者にも負担させる介護報酬の「特例措置」で対応したため、大問題になっています。
例えば、大津市で要介護3の高齢者がデイサービスを1回5時間以上6時間未満で週3回利用した場合、これまでの利用料は月9,594円(1割負担の場合)。ところが「特例措置」が適用されると1万103円となり、月509円の値上げになります(表参照)。
介護保険では要介護度ごとに限度額が設けられ、超過すると10割負担となりますが、「特例措置」で値上げされ、限度額を上回れば、さらに負担増となります。
下校後の教室、黙々と消毒
2020年7月12日号 1面掲載

ズシリ!!教員らの肩に
学校が通常どおり再開されて1ヵ月――校内に元気な声が響く一方、教職員らは授業と感染症対策に追われています。
子どもたちの心のケアも考慮し、キメ細かな指導が求められる中、教室や備品の消毒など、負担が重くのしかかります。
「消毒するのは教室の机やイス、ドア、ピアノ、ボール、手すり…。子どもたちが触れるものすべて」。米原市内の小学校で障害児学級を担任する教員は、児童が下校後、毎日1人で作業を行います。子どもたちの手洗いや消毒などの指導も、以前にはなかったことです。
中学校の美術や音楽などの授業では、生徒が毎回入れ替わるため、授業が終わるたびに教室の消毒が必須。近江八幡市内の中学校教員は、「たった1人で教室を消毒。正直言って疲れがたまっています」と胸の内をあかしました。
高島市内の中学校は感染症対策として、生徒による掃除をやめました。教員の1人は、授業と部活指導が終わり、生徒が帰ってから、毎日40分ほどかけて掃除と消毒作業を行っています。「以前から多くの業務に追われていましたが、学校を出るのはどうしても夜9時頃になってしまう」と。
国民健康保険料・滋賀県内6市町が値下げ
2020年7月5日号 1面掲載

「滋賀民報」調べ
米原市、子どもの均等割分を給付
コロナ禍で県民の暮らしや営業が深刻となる中、今年度の国民健康保険料(税)について、4月までに決めていた15市町を含めた全市町にあらためて問い合わせたところ、大津、彦根、野洲、湖南、高島、竜王の6市町が値下げ。12市町が据え置き、全県平均では4人世帯(所得300万円、40歳未満の夫婦と子ども2人)で年1万60円の引き下げとなることがわかりました(表参照)。
国民健康保険料(税)の値下げは、日本共産党などが求めてきたもので、多くの住民から喜ばれています。今回の値下げは、主にコロナ対策によるものですが、全市町で「高すぎる国保料」の引き下げが可能であることを示すものとして注目されます。
コロナ対策で値下げしたのは湖南、彦根、大津の3市。湖南市は4月までに決定していた国保税について年額の2割に当たる2期分(6月、7月)を減免。彦根市は基金約3億円を使って、国保料を前年比で約15%減免。
また米原市は、コロナ対策として、国保税納付世帯で18歳以下の子どもにかかる均等割相当額(軽減なし世帯は子ども1人3万4,900円)を「子育て世帯緊急応援金」として支給。市担当者は「18歳以下を含めて全員にかかる均等割があるのは国保だけ。ここを軽減しないと」と話します。
ルネサス滋賀工場閉鎖―広がる不安
2020年6月28日号 1面掲載
滋賀工場の変遷
- 1943年 日本電気大津製造所として操業
- 1953年 新日本電気の工場に
- 1983年 関西日本電気として独立
- 1996年 八日市工場を閉鎖
- 2004年 彦根工場を閉鎖
- 2008年 NECセミコンダクターズ関西に統合
- 2010年 ルネサス関西セミコンダクタの工場に
- 2012年 正社員約2,100人のうち約900人が事実上解雇に
- 2013年 総合職等40歳以上の削減計画(500人弱)
- 2014年 ルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリングの滋賀工場に
- 2016年 8インチライン(約220人)をロームに譲渡
- 2018年 6インチラインの2、3年後の閉鎖を発表
- 2020年 滋賀工場の閉鎖を発表
労働者、周辺商店主ら、"雇用と地域守って"
「労働者みんなが不安」。半導体大手のルネサスエレクトロニクス(本社・東京)が先月、大津市のJR石山駅前にある滋賀工場を閉鎖すると発表。
工場で働く正社員や請負労働者、工場周辺の商店主らに不安や怒りが広がっています。
ルネサス滋賀工場は、2008年までは旧NEC関西の本社・工場として、3,000人近くが働き、高卒求人数も年100人前後にのぼるなど、滋賀の地域経済にとって重要な事業所でした。ところがルネサスの子会社となった10年前から大リストラが相次ぎ、従業員を大量に削減。ついに今回、滋賀工場の閉鎖が明らかになりました。
ルネサス広報によると、滋賀工場の正社員数は約350人。このうち一昨年6月に2~3年後の閉鎖が発表されていたシリコンラインが約220人。化合物ラインが約90人、総務関係が30~40人。このほか請負135人(18年現在)、派遣160人(同)を合わせると従業員数は約650人にも。
従業員の雇用について「他の事業所や工場に再配置する」と言いますが、最も近くても愛媛県の西条工場。前のリストラで早期退職に追い込まれた女性(61・大津市)は「他の工場に行けるはずがありません」と怒ります。
県社協の生活福祉資金・貸付が激増
2020年6月21日号 1面掲載

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"仕事失い、生活できない"
「売上が激減。助けて」「仕事を失い、生活できない」――新型コロナウイルスの影響で失業、減収した世帯に、各地の社会福祉協議会(社協)が貸し付ける生活福祉資金(緊急小口資金・総合支援資金)の貸付件数が激増し、2ヵ月半でリーマンショック時3年間分を大きく上回っていることが、県社協の資料からわかりました(グラフ・表参照)。
暮らし・経済を破壊するコロナ禍の深刻さを浮き彫りにしています。
生活福祉資金のうち「緊急小口資金」は、最大20万円を無利子、無保証人で借りられ、「総合支援資金」は、2人以上の世帯が最大60万円(20万円×3ヵ月分)、単身世帯が最大45万円(15万円×3ヵ月分)を借りることができます。
県社協によると貸付決定件数は、3月25日から12日までの2ヵ月半で「緊急小口資金」4,187件(7億5,660万円)、「総合支援資金」1,468件(7億8,580万円)で計5,655件。これは昨年1年間の59倍、リーマンショック時3年間の2.3倍の件数です。
大津市社協には、子ども3人を育てながら飲食業を営む母親(30代)からの「客足が遠のき、売上が激減した。助けて」などの相談が連日60~70件寄せられており、このうち150人以上が失業者。担当者は「貸付が必要な人はまだまだいるのではないか。もっとこの制度を知らせないと」と言います。
夏・水道料金―コロナ対策で減免
2020年6月14日号 1面掲載

滋賀県内6市3町が減免
湖南市は水道4ヵ月分を無料
「暑い中、これで少しは助かります」――湖南市が先月、新型コロナウイルス感染予防に伴う家計の負担を軽減するため、一般家庭の水道料金を4ヵ月(6~9月検針分)無料にすると発表。
さらに今月に入り、下水道の基本料金も免除すると発表し、市民から喜ばれています。水道料金の減免制度は県内各市町でも広がっています(表参照)。
湖南市の制度は、「水道料金の負担で手洗いが減るのは良くない」(同市担当者)と家計を支援するもので、事業所などを除く市内約1万6,000世帯が対象。費用は水道が2億9,927万円、下水道が3,868万円。
◆日本共産党などが減免を要望
本紙の調べでは、5日現在で制度実施は6市3町(予定含む)に。
減免の多くは「基本料金」の免除で、無料は湖南市だけ。期間は5市町が4ヵ月で、最短2ヵ月、最長6ヵ月。このうち4市は下水道も減免します。
減免の目的について各市町は、「市民生活ならびに経済活動を支援するため」(彦根市)、「外出自粛等に伴う生活支援及び経済的負担の軽減」(日野町)などとしています。
水道料金の減免は、日本共産党などが各市町に求めてきたもので、同党の県地方議員団は先月26日、8市2町に水道用水を供給する県企業庁にも減額を要望しています。
新型コロナ・"検査体制の拡充を"
2020年6月7日号 1面掲載

各地にPCR検査センターを
「感染源にならないか」、「不安で仕方ない」――新型コロナウイルスと向き合う医療の最前線で、看護師たちから悲痛な声が寄せられています。
感染の危険性や院内感染を広げる恐れがあるのに、PCR検査を受けられないためです。滋賀のPCR検査数は近畿で最低(5月31日時点=表参照)。感染の第2波が心配される中、検査体制の抜本的な拡充が求められています。
PCR検査は、患者の鼻の奥から採取した“ぬぐい液”などに含まれる病原体を増幅して、感染しているかどうか(陰性・陽性)を判定します。
OECD(経済協力開発機構)に加盟する36ヵ国の人口当たりの検査数をみると日本は35位(4月28日時点)。最多のアイスランドの検査数の75分の1という少なさです。
各国と比べて格段に検査数が劣る日本の中で、滋賀の人口当たりの検査数は全国35位。県の累計検査数は1,856件(31日時点)で、感染者数が100人に達する状況にありながら、近畿で最低です。
◇
県内で感染者が急増した4月、発熱などの症状が出てからPCR検査を受けるまでに時間がかかる事例が多発。5月にも、23日に感染が判明した感染症指定病院で働く看護師は、検査まで医療機関を2回受診し、検査が受けられたのは発熱から5日後でした。
人口当たりの検査数が多い和歌山県の担当職員は、「国の基準を超えて検査を実施することで、院内感染の拡大を防ぐことができた」と話しています。
学校給食の実施、再開は…
2020年5月31日号 1面掲載

6月22日までに全市町で
休校が続いていた県内の公立小中学校が、1日からいっせいに再開されますが、子どもの成長に欠かせない学校給食の実施状況を調べたところ、休校中からの給食を継続するのが野洲市と日野町。他の17市町は、来月1日から22日までに再開されることがわかりました(表参照)。
野洲市では臨時休校中も約3割の児童・生徒らに給食を提供しています。市教委の担当者は「給食は当たり前のこと。保護者の負担を減らさないと」と話します。
給食の再開日は、1日が5市町、3~4日が3市町、8日が6市、15日が2市。最も遅いのが大津市の22日。大津市は先月、「1学期中は実施しない」と発表していましたが、市民団体や保護者らの反発や要望が広がり、今月22日、「要望等を踏まえ」て再開を発表しました。
バイトなく、食費が不足―"学費減額して"
2020年5月24日号 1面掲載
新型コロナ影響
新型コロナウイルス感染症の拡大予防に伴う営業自粛でアルバイトの解雇などが相次ぎ、困窮する大学生が急増しています。
このため学費減額を求める運動が全国で広がり、滋賀県立大学(彦根市)では、学生有志が2日から、学費減額などを求めるオンライン署名に取り組んでいます。
学生たちへの取材は、編集部を含む4ヵ所のオンラインで行いました。
「新型コロナウイルスの影響における大学閉鎖とオンライン授業への移行に伴う学費減額・オンライン授業実施方法の見直し・学修環境整備のための支援を求めます!」とした署名の中心になったのは、同じゼミの5回生です。
県立大学では前期(7月28日まで)の通常授業を取りやめ、学内への不要不急の入構を自粛するよう呼びかけています。授業は課題配信などで対応していますが、大学側は学修環境など学生個々に差があるとして、ライブ授業や双方向のオンライン指導は「基本的に行わない」ことに。大学独自の学費減額や給付金、パソコンの貸出などはありません(18日現在)。
そのことを知った学生たちは、「大学は、なるべく例年通りに学生が学べるようもっと支援してほしい」との思いが募りました。それぞれ留学や資格取得のために4年を超えて就学していますが、授業だけでなく、留学や卒論の執筆、就職活動にも影響が及んでいます。話し合った結果、「私たちが声を上げなければ」と署名に取り組むことに。
◆県内の各大学も
署名ができるのは大学関係者のみですが、18日までに署名に応じたのは在学生ほか、教職員や卒業生など299人に及びます。6月上旬に大学に提出する予定で、学生たちは、「引き続き集めています。さらに協力をお願いし広げたい」と意気込みます。
学費減額の署名は県内にキャンパスがある立命館大学(草津市)、龍谷大学(大津市)でも取り組まれており、それぞれ2,000筆以上が集まっています。
(本文続く)
"「密」避けられない!!"、苦闘続く福祉職場
2020年5月17日号 1面掲載
大津市内の重度心身障害者施設では…
「施設は閉めることができない」「テレワークもできない」「利用者には基礎疾患があり、感染による命の危険が」――。新型コロナウイルスの感染拡大から障害者と家族、施設関係者の命、暮らしを守ろうと、県内の障害者施設で苦闘が続いています。
障害者施設で心配されているのは、「3密」(密閉、密集、密接)が避けられないという現場の実情です。
大津市にある重度心身障害者の生活介護事業所「デイセンター楓」(社会福祉法人・しが夢翔会)施設長の白波瀬康徳さんは、「食事の提供やトイレ介助など、ほとんどで利用者の身体に触れます。歯磨きをしたり、排泄の世話も職員の手を使った介助。てんかん発作を起こされる方も多く、フロアなどで休まれる場合も、そばで見守らないといけません。日常的に密着なんです」とコロナ対策の難しさを話します。
(本文続く)
子ども医療費・県内8市町が中卒まで完全無料
2020年5月3日・10日合併号 1面掲載

栗東市などで拡充
「子どもの医療費を無料に」――。子育てする保護者らの要望を受けて、県市町が取り組む「子どもの医療費助成制度」の拡充が進んでいます(表参照)。
昨年10月には日野町が中学校卒業までを完全無料化し、守山市が通院費の助成対象を小学3年生までに拡大。栗東市も4月から、小3生までの通院費の助成を始めました。住民と日本共産党が粘り強く取り組んできた運動が実を結び、中卒までの完全無料化は8市町に広がっています。
子どもの医療費は県制度で就学前まで無料。市町が独自に制度拡充に取り組み、小中学生の入院費助成はほとんどの市町が実施しています(豊郷町は高卒まで、大津市は小卒まで)。
通院費の助成(昨年末時点)は、小3までが3市、小卒が1市、中卒が10市町、高卒が1町。今年からは、湖南市が1月に1年間の自己負担額が5万円以上になった分について、償還払いする新制度を開始。栗東市が4月、小3までの助成を始めました。同市では、住民と日本共産党市議団が制度拡充を繰り返し求め、昨年6月には「中学校卒業まで医療費の無料化を求める請願署名」を提出していました。
特養ホーム・滋賀県内待機者5,406人
2020年4月26日号 1面掲載

滋賀県内で特別養護老人ホームに入所できない待機者(昨年4月1日現在)が5,406人(実人数)にのぼっていたことがわかりました。県医療福祉推進課が今月公表したものです。
集計によると、待機者数は重複申込みを除いた実人数が5,406人(前年比605人減)で、介護保険制度が始まった2000年当時(582人)の9倍以上。複数の施設への申し込みを含めたのべ待機者は、1万5,118人(同193人減)にのぼりました。
安倍政権が2015年から特別養護老人ホームの入所要件を原則「要介護3以上」に改悪したため、要介護1、2の待機者は過去最低の552人で、改悪前(2014年、2,639人)の5分の1に激減。介護を必要とする多くの高齢者が待機すらできないのが実態です。
新型コロナ・"医療崩壊させるな"
2020年4月19日号 1面掲載

病床、スタッフ不足、深刻
"命を守る体制強化を"
新型コロナウイルスの感染者が急増する中、「県民の命と健康を守る医療体制と検査の強化を」の声が強まっています。
「医療崩壊」への不安も出ており、日本共産党の県議、市町議らが感染症指定病院や公立病院、民間医療機関など現場の声を聞くとともに、国や県に医療体制の強化を求めています。
県内には7つの感染症指定医療機関があり、感染者を受け入れています。病院事務局長の一人は、「患者をもっと受け入れたいという気持ちがあっても難しい」と実情を明かしました。
その一つは医療スタッフの不足。病院には数台の体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)がありますが、すべてを稼働できません。「同時に動かせるだけの人的配置ができない」ためです。
また、院内感染のリスクを完全になくせるのかという不安も。感染すれば重症化が心配される透析患者などに最大限の対策を講じても、出入り口やエレベーターなどは数が限られており、予防に限界があると言います。「患者さんの不安も大きく、見通しが立たない中、職員もギリギリで疲弊が心配です」
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「感染症対策には税金の投入が必要」と、別の病院の事務局長は言います。
県は感染ピーク時には約7,700人が入院を必要とする可能性があるとして、2,000床の確保を目標としています。
しかし一般病床を感染症病床に転用するには、人工呼吸器など必要な資機材や設備の導入、医療従事者の増員などで多額の経費が必要です。そのうえ、受け入れ準備のために空き病床をつくれば、診療報酬が大幅に減収します。ところが国の医療提供体制の整備予算は、マスク提供や治療薬開発費用などを含めても、わずか8,000億円。
「コロナは日ごと状況が変わってきている。スピード感を持って国、県が見合う予算をつけてくれないと」(事務局長)と切実です。
国民健康保険料(税)、県内10市町が40万円超
2020年4月12日号 1面掲載

11市町は据え置き
(滋賀県内全19市町調べ)
県民の暮らしや営業が深刻になる中、今年度の国民健康保険料(税)を各市町に問い合わせたところ、税率などを決めた15市町(予定含む)のうち、高島、竜王の2市町が値下げ、11市町が据え置くことがわかりました。値下げは、日本共産党などが求めてきたもので、住民から喜ばれています。
所得が300万円(年収442万5,000円)で介護保険料がかからない40歳未満の夫婦と子ども2人の世帯(資産なし)の場合、竜王町では年2万2,800円、高島市で2万2,600円、野洲市で4,300円の値下げ(年齢などで上がる場合も)。一方、豊郷町では8,100円の値上げ(固定資産や所得額などで下がる場合も)になります。
未決定の4市を含む全県の国保料(税)は、10市町が40万円を超え、県平均は40万2,718円にのぼっています。自公政権が国庫負担を減らした上に、国保の「都道府県化」で値上げをすすめたことから、高い国保料となっているものです。
県内大企業・内部留保、史上空前77兆円
2020年4月5日号 2、3面掲載

"今こそ労働者、中小業者にまわせ!!"
トヨタ、キヤノンなど滋賀県内に事業所を置く大企業34社の2018年度の内部留保(ため込み利益)が、前年比3兆5,705億円増の77兆8,044億円に増えていたことがわかりました(表参照)。
消費税増税に加え、新型コロナウイルスによる打撃で日本経済が深刻な危機に直面する中、春闘を闘う労働者らから「いまこそ内部留保を労働者、中小業者にまわせ」の声が強まっています。
内部留保は、企業が様々な名目でため込んでいる利益です。
34社のうち、前年度より内部留保を増やした企業は26社(76%)。このうち8社は従業員を削減しており、「労働者の首を切って儲けをため込む」という事態です。
34社の内部留保を全従業員(正規217万人、臨時27万人)に分配すると、一人当たり平均3,179万円にのぼります。春闘で県労連などが掲げる月額2万5,000円(ボーナス4ヵ月分=年額40万円)の賃上げには、内部留保77兆8,044億円の1.26%を取り崩すだけで可能です。
内部留保は全国的にも増加を続けており、18年度末には449兆1,420億円(資本金10億円以上の大企業)となり、過去最高を更新しました。
日本経済の危機が深刻になる中、日本共産党が先月、消費税緊急減税などとともに「大企業の内部留保を働く人の賃金、中小企業への単価の引き上げに」とする「緊急経済提言」を発表。労働界では、全労連が「過去最高額の内部留保を社会に還元を」と求めており、連合会長も「大企業では、将来の危機を理由に、内部留保を積み上げてきた。今回の新型コロナ拡大という危機にその内部留保を活用すべきだ」との声をあげています。
※内部留保額は、「2020年国民春闘白書」(一部、「滋賀民報」試算含む)から。2019年3月期の連結内部留保
春・ズシリ!! 相次ぎ値上げ
2020年3月29日号 1面掲載

国民年金保険料、振替料金、食用油…
新型コロナウイルスの影響による経済危機が心配される中、公共料金や各種商品の値上げが相次いでいます(表参照)。
4月から、国民年金保険料が月130円増の1万6,540円に値上げされるほか、後期高齢者医療制度の保険料(滋賀県)は7.86%増の年7万3,637円(月6,136円)にも。銀行の手数料、食用油、火葬料金(大津市)、銭湯入浴料(5月)なども値上げの予定です。消費税減税など暮らしを守る経済対策への抜本転換が急がれます。
コロナ影響・"解雇された"―労働相談激増
2020年3月22日号 1面掲載

広がる休業や雇い止め
滋賀労働局「特別労働相談窓口」
「解雇された」、「2週間は会社に来るなと言われた」――。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、滋賀労働局が開設した「新型コロナ感染症の影響による特別労働相談窓口」への労働相談が今月に入り、激増(表参照)。県内の労働者や中小業者らから悲鳴が上がっており、暮らしと営業を守る支援が急がれています。
特別労働相談窓口が開設されたのは2月14日。今月12日までに397件の相談が寄せられ、このうち2日以降が348件で、9割近くにのぼります。安倍晋三首相の「イベント中止」要請(2月26日)、「一律休校」要請(同月27日)が直撃した格好です。
最も多いのは「休業」に関わる相談で、116件。同労働局の担当者によると、「子どもが熱を出したら『休んでくれ』と言われた」、「ハワイ旅行から帰ってきたら会社から『2週間来るな』と。どうなるのか」などと困惑して、休業手当・補償を心配する相談が多いと言います。
一律休校、混乱と不安【学童保育】
2020年3月15日号 2面掲載

「子どもたちの健康が第一」と言いながら…
「支援員(指導員)が足りない」「消毒液もない」――。新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、安倍首相が突如表明した一律休校で、政府から「原則開所」が要請された学童保育(放課後児童クラブ)。現場では混乱と不安が続いています。
近江八幡市では首相表明の翌28日、2日からの小中学校の一斉休校、学童保育の朝8時からの開所を決め、保護者に連絡しました。
学童保育は通常、学校が終わる午後3時前後から子どもたちを受け入れているため、朝からの開所は「体制がとれないのでは」(支援員)と不安を抱えたままスタート。本来、子ども40人に対し支援員4人が基準ですが、市が「最低2人で」としたため、「心配」との声が。
同市内のある学童保育では、朝8時から支援員が20人のマスク姿の子どもたちを迎えます。手を消毒させ、家での検温結果を聞き取り。いつもより換気に気を配り、昼食前にも体温測定。こうした感染予防をしても、子どもたちは遊びに夢中になり、体が触れ合うこともしょっちゅうです。支援員(35)は「でも『離れなさい』とまでは…。恒例の『お楽しみ会』などの行事がすべて中止になり、子どもたちにストレスがたまることが心配」と話します。
学童保育の過密化や大規模化が大問題になっている中、安倍首相が「子どもたちの健康・安全を第一に」と言いながら、学童だけを開所するよう求めたことに関係者の多くが疑問を募らせています。
"老朽原発動かすな"―高浜1、2、美浜3号機
2020年3月8日号 1面掲載

東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故から11日で9年。事故の収束の見通しも立たず、住民の避難も続いているのに、滋賀県に隣接する「原発銀座」(福井県)では、関西電力が原発の再稼働を強行。さらに運転開始から40年たった老朽原発3基を7月頃から再稼働する計画で、危険性が急増しています。
県民からは「老朽原発を動かすな」「ただちに廃炉を」の声が強まっています。
原発の運転期間は、福島原発の甚大な事故を受け、原子炉等規制法改定(2012年)により原則40年と制限されています。原発は未完成の技術で、地震や津波に襲われれば、計り知れない深刻な被害を招くことは福島の事故から明らかです。
また、40年運転を続ければ原子炉などの劣化が避けられず、さらに延長すれば原子炉はもろくなり、発電の起動・停止の繰り返しで機器や配管の疲労がすすみます。法律では、1回に限り20年を超えない期間延長ができるとしていますが、政府は当時、「(延長は)極めて例外的」と説明していました。
県内でも「老朽原発の再稼働は認めるな」の声が強まっています。